「解像度が高い人」「その話は解像度が高い」といった表現を最近耳にしたりしませんか?
そんな時に使われる「解像度」について徹底的に掘り下げたのが本書です。
書店でもよく見かけることが多いので、気になって読んでみました。
簡単にレビューをしたいと思います。
基本情報
発売日:2022年11月19日
ページ数:352ページ
出版社:英治出版
著者:馬田隆明さん
馬田隆明
東京大学 FoundX ディレクター。University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』『未来を実装する』。
https://takaumada.com/
起業家として卓越したノウハウやスキルをお持ちであるということが伺い知れますね。
総評
本書は簡単に表現すれば「具体と抽象」の話です。解像度が高いという事は、より具体的であるという意味です。
「具体と抽象」の切り分け、使い分けはビジネスパーソンにとっては非常に重要なスキルであり、当ブログでも数多くの書籍を紹介してきました。
本書「解像度が高い」はその中でも特に詳しく書かれており、特に「深さ・広さ・構造・時間」という4つの切り口から掘り下げていくテクニックを説明してくれます。
書評といえば本来その4つの切り口を詳しく説明すべきなのかもしれませんが、今回の記事ではそこはあえて触れないことにしました。
さて、確かにこの本に書かれたことを素直に実践すれば、解像度が高い人に近づくことができるでしょう。ただし、書籍としては352ページもあるため、ボリューム大です。
「深さ・広さ・構造・時間」で分析した例をひたすら紹介してくれて親切である一方で、冗長さが否めません。正直私は読んでいて後半は若干飽きてしまいました。
この本に書かれたことを全てインプットするよりも、「深さ・広さ・構造・時間」という空間での認識と、そういった全体像を把握した上で、細切れに読んですぐに行動に移したほうが良いと私は思っています。
完読したから何かが変わるわけではありません。書かれた内容をそのまま実践することが大切です。
そのような意味でも、本来はどちらかと言うと実用書であるべきなのに、文字が多くて少々読みづらさ、そして活用のし難さを感じてしまいました。とりあえず2~3回ぐらいは読みたいですね。
思考における解像度とは
一般的に解像度と言えばディスプレイの精細さのことを指しますが、ビジネスの文脈においては下記のように表現されているようです。
「物事の理解度や、物事を表現するときの精細さ、思考の明晰さ」
ほとんどディスプレイの解像度と似たような解釈です。
解像度が高い人は頭が良い印象があります。
成功する起業家、あるいはコンサルタントなんかは解像度が高い印象があります。
解像度を高めるために
高い解像度を得るためには3つの要素が重要になります。
① 情報 ② 思考 ③ 行動
3つの要素全ての質と量が大事なのですが、「行動」が最も大事だと著者は言います。
情報と思考が荒い状態でも、行動をして情報を得て思考回路を回す。その反復運動の末に解像度が上がっていくのです。
もはや当ブログでさんざんレビューしてきた「行動」の大切さ。
本書でも登場しましたね。
情報は「過去」で、思考は「未来」という話がちきりんさんの書籍で登場しました。
ビジネス書に書かれたことは普遍的であることを私は再認識しました。
これだけ多くの著者が「行動をしなさい」と言うのだから、もはや間違いないです。
本書では「深さ・広さ・構造・時間」の切り口で掘り下げていく手法を詳しく解説しているのですが、私はこの理解について解像度を上げるよりも、行動をすることが解像度を上げるということを理解するほうが先決だと思います。
本書ではこの部分を特に読み込んだほうが有益でしょう。インプットをしても結局アウトプットをしなければ宝の持ち腐れです。
解像度を上げる ーまとめー
本書の内容を個人的な感想をメインに超ざっくりとレビューしてみました。
本書は「具体と抽象」の話を徹底的に掘り下げています。
その一方で行動することの重要性を説いています。
この「具体と抽象」「行動」は別テーマで語られることが多いのですが、本書の秀逸なところはセットに絡めて解説している点です。
今までに無かった視点で、それこそ著者の解像度の高さを感じることができます。
結局はビジネス書に書かれた内容はどれも似ていて、行きつく先は同じなのかもしれません。今回はそんな発見を得ることができました。色々と気づきが多い一冊でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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