今回はミステリー短編小説を紹介します。
私はビジネス書ばかり読んでいるのですが、最近では小説も積極的に読むようにしています。
とりあえず「えいや!」で選択したこの本が、実はかなり濃い内容で驚きました。
基本情報
発売日:2019年5月29日
ページ数:320ページ
出版社:新潮社
著者:芦沢央(あしざわ よう)
この「許されようとは思いません」は、2017年に第38回吉川英治文学新人賞の候補となった作品です。
本書の構成
5つの短編物語で構成されています。それぞれ独立したお話で、一つ一つが中身の濃い話になっています。
本書のタイトルである「許されようとは思いません」は最後の5つ目のお話になります。
どれも人の負の感情を上手に描いていて、読んでいて息苦しさを感じつつも、それでいて目をそむくことができない魅力があります。
そして何と言っても5つの物語全てに共通しているのが予想外の結末。それぞれのラストは唖然とするかもしれません。
1話「目撃者はいなかった」
一つ目のお話「目撃者はいなかった」では、営業成績の冴えないサラリーマンがいつの間にか成績が上位に上がっていた。しかしそれは自分のミス、誤発注だったのです。
そのミスを誤魔化すために偽装工作を始めるのですが、その行動にとにかくハラハラドキドキ。
その偽装工作中に、偶然にも交通事故の瞬間を目撃することになるのですが、いかんせん偽装工作中なので事故の証言をしようにもできないジレンマがあるわけです。
主人公のなんとも言えない葛藤を上手く表現しているところが秀逸です。
主人公と自分を重ねあわせて読むことで、非現実的な日常に身をおくことができるでしょう。
自分がもしここまで追い詰められたら、どう行動するか?究極の選択をする訓練にもなるかもしれません。
総評
5つのお話全てにおいて、人間の負の感情、闇、つまりダークサイドを絶妙に描いています。
底知れぬ不安、醜さ、残忍さ、不潔さ、悪さ、愚かさ、怠惰などにあふれている風景が伝わってきます。
しかしこれらの負の感情から目をそむけて生きるべきなのでしょうか?
人は生きているからこそ感じるこの感情としっかり向き合っていかなくてはいけません。
逃げたくなる時もあるでしょうが、何が起こっても誠実に行動をしていきたいなとこの本を読んでいて私は感じました。
落ち込んだら自分をメタ認知して、冷静に分析をしましょう。
目先の損得に振り回されないように気を付けたいものです。
「許されようとは思いません」 ーまとめー
この小説はミステリー系であり、人の闇の部分をリアルに描いた作品です。
刺激を求める人にはうってつけの内容。
世の中きれいごとばかりではない。実際にはこの物語のようなドロドロした感情もあって、我々の人生においては大きな悩み事になり得ます。
しかし生きていくには乗り越えなくてはいけない場面もあるんです。
この本を読みながら人生の試練を疑似体験し、折れないメンタルを身に付けていってほしいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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