私は某企業の単なる平社員で、しかも理系出身で経営に関しては全くの素人ですが、経営に関するビジネス書は好んで良く読みます。
そのような書籍は経営コンサルの人が書いた本が多いですが、本書は純粋に企業の社長さんが書いた、会社づくりに関する本です。
株式会社コプロスという会社を立て直した方法について詳しく紹介しています。純粋に社会勉強として読むのも面白いと思います。
というわけで、簡単に本書の内容を紹介していきたいと思います。
基本情報
発売日:2023年1月20日
出版社:あさ出版
ページ数:224ページ
著者:宮崎薫
著者の宮崎薫さんは株式会社コプロスという建設会社の代表取締役社長です。
1958年山口県下関市生まれ
武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部卒業
米国建機会社へ勤めたあと、父が経営する株式会社共栄土建(1991年に株式会社コプロスへ社名変更)へ入社。1995年に社長就任。工学博士。
本書の構成
株式会社コプロスという山口県にある建設会社が本書の舞台です。
コプロスは1946年に創業し、70年以上の歴史を持ちます。従業員数は100名ぐらいの規模です。
会社の利益を10年で2倍に成長させた秘策が「人材」にあり、本書ではそのエピソードについて書かれています。
売上が伸び悩んでいる等の経営の悩みを抱えている企業の経営者にとっては参考になる情報があるかもしれません。
労働組合の役員をやっている私としても、組織づくりに活用できそうなヒントを得ることができました。
「人罪」ではなく「人財」へ
人材のことを「人財」と呼ぶのを近年よく耳にしますね。
「人財」は会社に利益をもたらしてくれる重要な財産です。従業員を「人財」に育てあげるのが会社の使命です。
人を採用したものの、売上に結びつかないとなれば、それは「人財」ではなく「人罪(=コスト)」となってしまいます。
大切な従業員を「人罪」にしないために、彼らが活躍できる環境を作らねばなりません。
会社の環境整備
従業員を「人財」へと育て上げるため、宮崎社長が取り組んだのは環境整備です。
環境整備は次の3つで構成されています。
1.物的環境整備 社内のあらゆるものを整理・整頓・清掃・清潔にする
2.人的環境整備 社員の明るい返事・元気な挨拶・笑顔を習慣化する
3.情報環境整備 報告の仕方を統一する、時間を守る、社内のコミュニケーションを促進する
どれも一見シンプルですが、あらゆる仕事の土台であり、ビジネスパーソンとしての基礎的な事です。
複雑そうに見える事柄でも、結局シンプルに考えるのが一番良いってことかもしれません。
松下幸之助さんの書籍にも通じるところがあります。初心を忘れず、謙虚になりましょう。
マニュアル化する
コプロスでは社内の様々な仕事の手順をマニュアル化し、さらにフォーマットを統一しました。
マニュアルを作る重要性って誰しもが理解できるのですが、面倒でしかも緊急性に欠けるので、後回しにされて結局やらずじまいってことが往々にしてあります。
しかしコプロスでは徹底的に手順化・標準化しました。これによって技術伝承が大幅にやりやすくなったわけです。
またフォーマットが統一されているので、1人1人別のフォーマットを作るような非効率的なことにはなりません。
無印良品のMUJIGRAMの取り組みと同じですね。企業経営にもこのような「型」が存在するのかもしれません。
会社の制度としての飲み会
最後に、面白いなと思ったコプロスの取り組みについて触れておきます。
それは飲み会をいわゆる「飲みにケーション」、重要なコミュニケーションの場として位置付けています。そしてなんと飲み会を制度化しているのです。
ここでは数あるルールのうちの二つを紹介したいと思います。
1.一部会費制
飲み会の会費の一部を社員に負担させています。逆に言えば、会社が会費の大部分を補助してくれるということです。
これはコプロスのような企業規模だからこそ成せる技なのかもしれませんが、近年では会社の飲み会よりもプライベートを優先する時代です。
そこへ会費を会社が一部負担してくれて割安で参加できるのであれば、参加しても良いかなという動機付けにはなるかもしれません。
2.早め開始・早め解散
飲み会の翌日の仕事に支障をきたさぬよう、コプロスでは18:30スタート、20:30終了が基本となっています。これも良い取り組みですね。
通常業務同様、飲み会もきっちり時間管理するべきです。時間を決めて始め、終わる。帰宅後に自己啓発したい人もいるし、家族との時間を作りたい人もいるでしょう。
そう考えるとこの早め早めの時間設定は今の時代に沿ったスマートなやり方です。
まとめ
今回は株式会社コプロスという企業での取り組みについて書かれた本を紹介しました。
主に「人材」への投資に関する内容が多く書かれておりました。
これは「入門 組織開発」におけるソフトな側面に関する内容です。
ソフトな側面は難しい課題であるため、自社の制度を設計する上では、本書のような具体例をいくつも参考にする必要があると感じました。
そのような意味では本書は大変ありがたい書籍です
最後までお読みいただきありがとうございました。
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