バドミントンの大会で用いられるシャトルコックと言えば、YONEXのニューオフィシャルですね。誰もが知っている有名で歴史のある一品です。
そんなニューオフィシャルの価格高騰が止まりません。詳しくは過去記事をご覧ください。
さて今回の記事は、数年前にチラッと登場した「人工シャトル」がこの価格高騰の救世主になるのか?というお題で、現在のメーカーの研究状況の調査結果から私こーたろー目線で論じてみようと思います。
YONEX社の人工シャトルの研究状況

バドミントン用品のリーディングカンパニーであるYONEX社が人工シャトルの研究をしていないわけがない、私はそう思います。
通常、企業の研究開発は当然社外秘ですので、一般人である私が知れる内容ではありません。ただし、推測できる材料は公開されています。それは「特許」です。
私も昔、某企業で研究開発を行っていまして、特許出願がノルマとしてのしかかっており、苦労した記憶があります。特許に関する解説はここでは割愛しますが、出願して一定期間が経過すると公開され、審査請求の末に登録されていくのです。
というわけで、YONEX社の特許を調べてみました。知財ポータルサイト「IP Force」というサイトで検索しました。
YONEX社の人工シャトルに関する登録特許で最も新しいのは「特許7267035」でした。
出願日は2019年2月で、登録日が2023年4月。製造設備を整えて生産技術を確立し、試作品の評価を行ってトップ選手に試打してもらう、という流れでしょうか。富山県に新たに生産工場を立ち上げるというニュースもあり、期待が持てそうです。現在どこまで進んでいるのか、気になります。

特許を生成AIで要約した
特許は独特の言い回しで長文なので、慣れていないと理解が難しいです。そんなときは生成AIの出番です。生成AIを使って要約してみました。
この特許は、人工羽根を備えたバドミントン用シャトルコックに関するものです。主な特徴は以下の通りです。
- 人工羽根の形状と配置
- 羽部(羽根の広がる部分)と、それを支える羽軸部を有する。
- シャトルコックの回転方向(反時計回り)に対し、羽部の形状が特定の角度と傾斜を持つ。
- 羽部の回転方向下流側の端と羽軸部の中心を結ぶ仮想線が、上流側の端と羽軸部の中心を結ぶ仮想線より外側にある。
- 羽部には、傾斜した部分と傾斜していない部分があり、傾斜部分の長さが長い。
- 羽根同士の重なり(請求項2, 3)
- 請求項2:隣接する羽根が重なり合い、当接している構造。
- 請求項3:隣接する羽根が重なっているが、直接当たっていない構造。
この特許の目的は、シャトルコックの飛行性能(安定性・回転特性)を向上させることにあると考えられます。

この特許の目的は、「安定した飛びを得ること」なんだね!
人工シャトル VS 水鳥シャトル

YONEX社の特許7267035は、「飛行性能」を向上させるものでした。個人的には耐久性アップを期待していましたが、そもそもそれ以前に天然シャトルのような「飛び」を再現できていないから市場に出せないのだ、という背景がありそうですね。
YONEXのニューオフィシャルは天然シャトル、水鳥シャトルとも呼ばれています。他メーカーから出ているシャトルコックはほぼ全てこの水鳥シャトルです。以前、「ハイブリッドシャトル」と呼ばれる人工+天然のシャトルもありました。ここでは割愛します。
さて、そんな人口シャトルと水鳥シャトルについて、簡単な比較表をつくりました。ご覧ください。
人工シャトルと水鳥シャトルの比較表
特徴 | 水鳥シャトル(天然シャトルコック) | 人工シャトル(人工シャトルコック) |
---|---|---|
羽根の素材 | ガチョウやアヒルの天然羽毛 | ナイロン樹脂などの人工素材 |
羽根の構造 | 16本程度の羽毛を独立して植設 | 一体成形の樹脂製羽根が一般的 |
比重・重量 | 比重が小さく、極めて軽量 | 天然シャトルに比べやや重い |
剛性 | 高い剛性を持つ | 天然羽毛ほどの剛性はない |
飛行性能 | 独特の飛行軌道を描く | 天然シャトルの飛行性能再現が難しい |
打球感 | 心地よい打球感 | 天然シャトルに比べると異なる打感 |
耐久性 | 割れやすく消耗が早い | 比較的耐久性が高い |
コスト | 高価 | 安価で手に入りやすい |
コスト的には人工シャトルに軍配が上がるようです。イニシャルコストがかかるだけで、あとはプレイヤーに受け入れられて大量生産ができれば、コストは下げられそうですね。
プレイヤーに受け入れられるかどうかの鍵となるのが、「飛行性能」なのでしょう。バドミントンは繊細なタッチと高精度な配球が要求されるスポーツです。この「飛行性能」が試合の結果を大きく左右することは、プレイヤーの誰しもが理解していることでしょう。
価格高騰の原因と今後の展望

人工シャトルの研究開発状況を推測し、人工シャトルの特徴を理解しました。さて、この近年のシャトルの価格高騰の原因は一体何でしょうか?その原因を考えてみましょう。
個人的には「円安」が主因だと考えています。
天然シャトルの羽根の原材料は水鳥で、主な原産国は中国です。ほぼ100%中国からの輸入に頼っているのではないでしょうか。今後円高にふれて輸入価格を抑えることができれば、価格が下がる可能性もなきにしもあらずでしょう。

しかしアメリカでは第二次トランプ政権が発足し、米中問題は先行き不透明です。日本もこの貿易摩擦にどのように巻き込まれるかは全く読めません。となると円高に期待するのは無謀でしょう。
個人的には人工シャトルの製品化を急ぎ、材料は国内メーカーを採用する。日本には世界に誇る化学メーカーがいくつもあります。材料である樹脂には強いのではないでしょうか。ぜひオールジャパンで世界に立ち向かっていってほしいです。
またバドミントン界全体で人工シャトルをフォローするような流れを生み出さなくてはいけません。変化を受け入れ、人工シャトルでもプレーを楽しめるような努力をすべきでしょう。
まとめ
今回はYONEX社の人工シャトルに関する研究状況を調査し、人工シャトルが価格高騰の救世主になりうるのか?という視点で考察をしてみました。
個人的には人工シャトルにいち早く切り替える必要があると考えています。それは価格高騰の主因が「円安」だと考えているからです。
人工シャトルの原材料は樹脂です。樹脂に強い国内企業はたくさんあります。今こそ日本企業が結託し、メイドインジャパンのシャトルを作る。日本の技術で日本人を守り、世界にアピールしていく局面なのではないでしょうか。
おそらく現状では人工シャトルの飛行性能はまだまだなのでしょう。ただ、先行き不透明な世界経済を鑑みると、プレイヤーである我々も多少の変化を受け入れる必要性があると私は思います。
大好きなバドミントンをリーズナブルに末永く楽しむためにも、それぞれの立場でできることをしていくべきなのではないでしょうか?
あくまで一個人としての意見として捉えていただければと思います。あなたはどう考えますか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント