バドミントンのプレー中に「肉離れ」を起こした経験はありますか?
おそらく多くの人々が肉離れに悩まされてきたのではないでしょうか。
今回はそんな肉離れに関する興味深い論文を見つけたので、内容を紹介しながらバドミントンプレイヤーである私サラバド目線で考察したいと思います。
結論
バドミントンで発生する肉離れで最も発生リスクが高いのは、
「下腿三頭筋(ふくらはぎ)」である。
損傷部位は腱膜部で、損傷度1の場合競技復帰は1.9週である。
この結果はプレイヤーの肌感覚とも合致しており、信頼性の高い結果である。
考察
第29回日本臨床スポーツ医学会学術集会 シンポジウム5:肉離れ(競技別、部位別の筋腱損傷の特徴、病態および治療) より、
「 1.トップアスリートの肉離れ ー協議と受傷部位およびMRI分類について 」
という論文というか研究発表があり、内容が面白かったので紹介します。
この論文では、複数のアスリートに対して、一定期間に発生した肉離れを発生部位ごとに発生数を分類し、さらにMRIを撮影したうえで細かく受傷部位を分析し、競技復帰への週数を調べたものになります。
競技別の肉離れ発生件数
競技別の肉離れの発生件数は下表のとおりです。
絶対値だと少しわかりにくいので、パーセンテージに直してみました。
バドミントンでの肉離れ発生部位は下腿三頭筋(ふくらはぎ)がトップでした。
下腿三頭筋(ふくらはぎ)に着目すると、別種目ではラグビー、体操、ハンドボールも同様にトップでした。
ジャンプしたりクイックターンの多い競技でふくらはぎに負担がかかっていると想定します。
陸上競技やサッカー等はスプリント系種目でダッシュ等の走るシーンが多いせいか、大腿二頭筋(ハムストリング)がトップという結果です。
バドミントンとは怪我の部位についても毛色が異なる点は納得の結果だと思います。
肉離れ部位の損傷部位
次に、肉離れ部位のMRI診断結果からわかる、損傷部位の一覧です。
先ほどの下腿三頭筋はヒラメ筋と腓腹筋で構成されています。つまり表の下二行が該当します。
ここでわかるのは、ふくらはぎの損傷は「腱膜部」の確率が高い、ということです。
腱膜部とは?と多くの方が疑問に思うと思います。
下図は大腿二頭筋(ハムストリングス)を例に挙げて説明したものです。
腱膜部は黒塗り部分で、筋繊維の下地となっている薄いシート状のもののようです。
筋肉が付着するための土台として機能しているそうです。
バドミントン中にふくらはぎが「ぴきっ!」となるのは、高い確率でこの腱膜部に何か異常が起こっているものと推測できます。
今までの経験的には、しっかりサポーターやテーピングをしていてもふくらはぎは肉離れをする印象があります。
それは腱膜部のような深層部位に原因があるため、いくら外側から圧迫しても効果が薄いということを表しているのかもしれません。
損傷部位別の競技復帰週
次に紹介するのは、損傷部位別の競技復帰週などを調べた結果です。
例えば腱膜部で損傷度1の場合、競技復帰週は1.9週だそうです。
この結果は確かに感覚的にもあっていて、大体肉離れが発生してから2週間は安静にしていないと、痛みが取れないことが多いです。
まとめ
今回紹介した論文からは、バドミントンで発生する肉離れで最も多い部位は、下腿三頭筋(ふくらはぎ)であることが示されていました。
特に腱膜部という筋肉の土台となるシート状の組織が損傷している場合が多く、競技復帰の目安は損傷度1で約1.9週という結果。
これは概ねバドミントンプレイヤーの経験則と一致しており、確からしい研究結果と言えると思っています。
おそらく多くのバドミントンプレイヤーがふくらはぎの肉離れに悩まされていると思います。特に歳を重ねるごとにそのリスクが高まる傾向にあります。
できれば肉離れ発生確率の年齢との相関を調べ、原因を追究し、予防策を検討していきたいなと思っています。
肉離れに悩むプレイヤーの皆さんの一助になるよう、頑張ります!
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
ためになる題材で、素晴らしい文才、読みやすく楽しく読ませていただいております。
たいした参考にもならない話ですが、東京都シングルス40デビューの時に「下腿三頭筋部分断裂」というのをやりまして救急車で運ばれました。恐ろしく体が動いてしまいスマッシュ&プッシュの連続をしていたら、スマッシュの際に「ぴきっ!」と・・・立ったまま固まり動けなくなりました。翌日、永生クリニックに行き、ギブス3週間でした(年末年始)。貴殿の投稿を読むと、ギブス必要だったのかなとも感じましたが、損傷度1で約1.9週安静どころではなく、ギブスでしたかね。ギブスが外れたその後はアキレス腱周囲炎に2年間悩まされました。12月中旬で寒かったのもあるかな。確かにサポーター等しますが、やるときはやってしまいますね。
失礼致しました。
後藤さん
コメントありがとうございます。
それはおそらく筋繊維部の損傷になるのでしょうね。損傷度2といったところでしょうか。
あまり動かしてはいけないでしょうから、そこまでいくとギプスは必要でしょうね。
発生頻度としてはそこまで高くはないですが、悪条件が重なるとそのような大怪我になってしまうということですね。
スマッシュの時にぴきっとなる、というのも、ふくらはぎを痛めやすい瞬間かもしれません。
利き足に体重を乗せてふくらはぎが伸長し、逆足に体重移動させるときに急激に収縮してぴきっとなるのかなと。
またおっしゃる通り時期も要因としてあるかもしれないと思っています。
私がふくらはぎを痛めるのも大体冬場のような気がします。
対策のヒントになりそうです。
どうもありがとうございます。
こちらこそありがとうございました。