「とにかく仕組み化」書店で見たことがある人は多いのではないだろうか。
「リーダーの仮面」「数値化の鬼」とセットになった本作は、ビジネスパーソンとして原点回帰できるような内容になっている。簡単に本書を紹介したい。
基本情報
発売日:2023年5月31日
ページ数:320ページ
出版社:ダイヤモンド社
著者:安藤広大
株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの9年間で約4300社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
引用Amazon
識学とは「意識構造学」の略で、マネジメント理論の一種だ。
組織開発、人材育成等を体系的に学ぶことができる。
株式会社識学は数多くの企業への導入実績を持ち、近年非常に注目されている。
どんな本なのか
タイトルからは小難しい内容を想像していたが、実際には全くそんなことはなかった。
むしろ伝えたいことが簡潔に述べられていて、余計な言い回しは一切ない。だからページあたりの文字数は少なくスッキリしていて読んでいて不快感がない。
肝心の内容はと言うと、「組織の歯車として機能する」「替えの利かない人材になる」という二者択一を迫るところから本書はスタートする。
近年のトレンド的には後者を勧める風潮があるが、本書の主張は一貫して前者だ。
替えの利かない人材=属人的 のため、そこを仕組み化して歯車になれる人材こそが優秀なビジネスパーソンであるという理屈だ。この考えにはハッとさせられた。
個が尊重される現代において、この歯車思想には驚かされる。歯車を表面的な理解で終わらせてしまうのは非常に危険なので、本書を何度も繰り返し読み、理解を深めていきたい。そんな一冊だ。
本書のフレーズからの学び
「組織に所属して、役割を果たすこと」が何より意味のあることだからです。いっけん、時代とは逆のことを語っている、と批判されます。しかし、どちらが人のためなのでしょうか。
「歯車」という思想が一人歩きしてしまうと、個が組織に埋もれてしまうようにも捉えられてしまうだろう。
例えば、「歯車も含めたメカ系全体を設計する」という考え方はどうだろうか?
それが仕組みを作る、ということにも繋がるのではないだろうか。
自分は歯車として機能しつつ、複数の歯車を含めたシステムを設計すると考えれば、それってかなり高度なスキルが身に付きそうだ。
それは、どんなに仕組み化によって考え方を切り替えていても、同じ部署で同じ業務を続けていると、「属人化」が生まれてしまうからです。
一つ仕組み化をしても油断をすればすぐに属人化してしまう。つまり一つの業務にとどまり続けるということは、属人化からは決して逃れられないということだ。だから人事異動が機能する。
「移動する人はうまくいく」で著者の長倉氏が再三述べている趣旨と合致している。
一つの業務しかしていない人はリスクでしかないということだ。
一つの歯車システムを構築したら、別のシステム設計へ積極的に移動して自分の能力を高めていきたいね。
政治でも、100%全員が満足できる政策はありません。どこかで「線引き」が必要になります。
しっかり成果を出している人、成長したいと思って努力している人が報われる組織であるべきだ。
日本企業ではまだまだ年功序列の要素が色濃く残っており、既得権益が存在するが、このような人種は組織のルールが曖昧なほうが都合が良い。
このようなグレーゾーンを変えていくのが、人の上に立つ者がやるべきことだ。
この考えは納得感が高い。現状維持バイアスに必死に抗う人材こそが評価される。
そんな仕組み化が現代の企業には必要だ。
まとめ
「仕組み化」ということで、読む前は「自動化」とか「マニュアル」という単語が頻出するのだろうと予想していたが、読んだあとは良い意味で裏切られた感覚だった。
そんな簡単な話ではなく、「歯車として機能すること」といった仕事の哲学にも繋がる深い話だったのだ。
それでいて本書はエッセンスだけ抽出されていて非常に読みやすい。
理解すべきフレーズのみ厳選されて記されている。
何度も何度も読めるし、そうして理解を深めて自分の考えを確立していくのが良い。
個を活かしつつ、組織に貢献する。そんなハイブリッドエンジンのような働きができれば良いと私は思う。
コメント