自分や他人の個性を知り、仕事や人生に活用しようというのがこの本の内容です。
特徴的なのが、『宇宙兄弟』という人気漫画を題材に自己分析を解説しているところだと思います。
人の個性を科学的に分析するFFS理論という手法を用い、宇宙兄弟に登場するキャラクターの性格をポジティブ/ネガティブの両面で考察しています。
登場キャラの思考や行動が読者自身と重なる部分があったりして、感情移入しながら楽しんで読むことができます。
今回はそんな本書を簡単に紹介し、読んだ感想をお伝えします。
FFS理論とは
Five Factors & Stress 頭文字をとってFFS理論と呼びます。開発者:小林恵智先生。
FFS理論はストレス理論をベースに研究されたものです。
人によってストレッサー(ストレスになる刺激)は違います。
例えば、同じ広さの部屋にいても快適だと感じる人もいれば、不快に思う人もいます。
つまり環境や刺激に対する感じ方や捉え方は人それぞれ違います。その感じ方や捉え方の特性を5つの因子として定量化したものがFFS理論です。
その5つの因子は次の通りです。
凝集性因子
受容性因子
弁別性因子
拡散性因子
保全性因子
読者特典としてFFS診断がありますので、興味がある方はぜひ試してみてください。
各ストレス因子の特徴
5つのストレス因子の特徴を簡潔に列挙します。
もちろん本では一つ一つの因子について宇宙兄弟のシーンやキャラをモデルに挙げながら丁寧に説明しています。
今回の記事では全体像を掴んでもらうため、サラッと紹介します。
◇はポジティブな側面、◆はネガティブな側面としました。
◇ 正義感が強い。ブレない価値基準がある。意思決定力がある。
◆ 頑固。喧嘩腰。空気が読めない。
◇ 共感力が強い。面倒見が良い。空気を読む力がある。
◆ 優柔不断。おせっかい。対立・衝突に不慣れ。
◇ 合理主義者。ムダを徹底的に排除。
◆ 感情移入が無い。無機質な対応。
◇ 行動力がある。独創的なアイデアを生み出しやすい。
◆ 計画性が無い。飽きっぽい。
◇ 慎重に物事を進める。計画的。
◆ 消極的。前例を変えることに抵抗がある。
自己分析の3STEP
本書では、自己分析には3段階あると述べています。
自分がどんな性格なのかを理解するだけが自己分析ではないです。
自分の特性を知り、受け入れる。ネガティブな特性もポジティブに変換して発信していく。そこまで行動して初めて自己分析になります。
- STEP1「自己理解」
客観的に自分の特性を知る
- STEP2「自己肯定」
その特性を素直に受け入れ、肯定する
- STEP3「自己発信」
目標を定めて、自分の特性をポジティブに伝えるシナリオを作って、活動し、発信していく。
先ほど紹介した5つのストレス因子は、人によって濃淡があります。
また複数の因子が高く表れるケースもあります。
自己分析の第1段階として、自分はどのストレス因子が強いのか?を知ることです。
するとポジティブな側面とネガティブな側面が判るので、第2段階としてその結果を受け入れます。
どのストレス因子もポジ/ネガの両面があるので、ネガティブな側面だけに注目して悲観的になることはありません。
そんなポジ/ネガの特性を武器にどのように周囲に自分の想いや考えを発信していくのか、考えて行動していく、これが第3段階です。
感想
最後に本を読んだ感想を書きます。
この本を読むまでは、隣の家の庭が青く見えるように、優秀な人を見て「あのような人になりたい」と思い、自分と他人を比較していました。
優秀な人に憧れて行動を真似してみるのは良いことですが、人には得意/不得意があるので、他人と比較して自分を責める必要はないなと思えました。
例えば会社であれば、チームで仕事をこなすことが多いです。
自分が苦手な分野は周りの得意な人に任せて、逆に自分に得意なことがあれば率先して行えば良い。決して一人ですべてを背負いこむ必要は無いんだと理解すれば、とても楽な気分になりました。
大事なのは、自分がどんな性格で、何が得意/不得意なのかを理解することだと思います。
自分を知ることができれば、自分に合った仕事が見つかり、充実した毎日を過ごすことができるでしょう。今までなんとなくやっていた仕事も、実は自分に合っていない仕事だった、ということが判るかもしれません。
また、仕事やプライベートで関わる人に対し、言動や行動から「この人はどの因子が強いのだろうか?」と分析しておくことで、その人との付き合い方が判り、良好な関係を築くことができると思います。
まとめ
今回は「宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたを引き出す自己分析」を紹介しました。
宇宙兄弟という人気漫画はもともとFFS理論とは全く無関係な状態で書かれたそうです。一人一人個性が強い登場人物がFFS理論を説明するのにピッタリすぎて驚きまました。
FFS理論を頭にインプットした状態で宇宙兄弟の漫画を読めば、どの因子が優位な場合はどんな振る舞いを見せる、ということがよく判ります。
機会があれば本家の「宇宙兄弟」を読んでみたいなと思いました。
皆さんも自分がどんな性格なのかを知り、豊かな人生を過ごしていってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
とても興味深く拝読させていただきました。
よく「長所と短所は条理一体」などと言いますが、
5つのストレス因子の中で、ポジティブな側面とネガティブな側面、
よくまとまっていますね。
私的には、
【受容性因子】の優柔不断。おせっかい。対立・衝突に不慣れ。
が・・・頭が痛いですが、
残り少ない、豊かな?人生を過ごしていきたいと感じました。
後藤さん
コメントありがとうございます。
日本人の半数以上は受容性と保全性がメジャー因子なんだそうです。
言われてみれば納得な感じがします。
FFS理論は人間を分類したいわけではなく、
人それぞれ優位なストレス因子が異なるので、自分や他人の特性を理解して上手に生きよう、ということなんだと思います。
この本を読んで本当によく考えさせられました。
ありがとうございました。
正誤 「条理」→「表裏」
最近打ち間違いが多くて参っています涙