以前、アドラー心理学の書籍「嫌われる勇気」をレビューしました。
その中で、「共同体感覚」の話が出ました。自己への執着から、他者への関心に切り替えよ。
与えよ、さらば与えられん。というフレーズも登場し、他者貢献の重要性を学びました。
よく「ギブ&テイク」というキーワードは日常生活には登場しますよね。
まさにそのタイトルが付けられた本を見つけたので、これはタイムリーな話題だと思い読んでみました。
サブタイトルの、「与える人こそ成功する時代」とあるからには、「GIVE」の大切さを主張する内容だと想像できますよね。
まさにアドラー心理学の考え方と合致しそうで、興味津々です。
かなりボリューミーな本ですが、ポイントを絞って簡単に要約&サラバド的感想を紹介していきたいと思います。
要するにこの本はどうゆう内容か
タイトルの「GIVE&TAKE」からして、「情けは人のためならず」ということわざを思い浮かべますよね。
まさにこの通りの本です。
本書には色々な人物が登場します。特に、GIVE&TAKEのGIVEに偏った「ギバー」である人物のサクセスストーリーがいくつも紹介されています。
つまり人はギバーになることで成功に近づくことができる、ということを実在の人物の例だったり、実証研究や理論を基に科学的に説明しています。
本を読み終える頃には、「情けは人のためならず」の確からしさを実感することができると思います。
ちなみにこの本は厚さ約3cmあって、ハードカバーのタイプなので、重厚感があって読み応えがかなりあります!
人間は大きく分けて3種類のタイプが存在する
本書のタイトルはGIVE&TAKEですが、本書で論ずるのは3種類のタイプの人間です。
ギバー(与える人)
テイカー(受け取る人)
マッチャー(バランスを取る人)
ギバーにしてもテイカーにしても、ひたすら与えるばかりとか、人から取ろうとするだけ、ではないです。いずれにしてもギブしたりテイクしながら仕事をしています。
違いはギブ&テイクに至る道筋です。
テイカーは自分の「テイク」という目的のために「ギブ」をすることもあります。
一方でギバーはまず第一に「ギブ」を考える。結果としてギブが自分に返ってくる、すなわちそれがテイクとなります。
そしてマッチャーですが、このタイプの人間は自分と相手の利益・不利益をそのつど公平にバランスし、ギブ&テイクの帳尻を合わせようとします。
こう言われてみると非常に納得感があります。
なんとなくテイカーは印象が悪く、ギバーはボランティア精神の強い人をイメージします。
なので多くの人はマッチャーであろうとするのではないかと思います。
頭では理解できていても、なかなかギバーに転身するのは難しいですよね。
成功するギバーとそうでないギバー
ギバーには2種類のタイプに分けることができます。
自己犠牲タイプと他者志向タイプです。
成功するのは後者の方で、前者は自分自身のニーズを損ねてまで他者にギブをします。
一方テイカーは自己利益を第一に考え、他者への貢献をないがしろにします。
自分にも他者にも関心がない人は無気力です。
つまり成功するためには、受け取るよりも多く与えても、自分の軸は全くブレない姿勢が必要そうです。
逆に言えば、自分の軸がしっかりしているからこそ、いつ、どこで、どのように、誰に与えるかを明確に決めることができるということです。
誰かれ構わずギブしてばかりいると、そのうち悪い人に騙されて痛い目に合ってしまいそうですね。
そうならないためにも、善と悪をしっかり見極めるためのスキル・考え方を身に付け、正しい方向にギブしていけば、知らぬ間に周囲の力のおかげで成功に近づいていた、なんてことになるかもしれません。
ギバーが燃え尽きてしまうのは何故か
ギバーには2種類のタイプがあるというお話をしました。
自己犠牲的なギバーは往々にして燃え尽きてしまうことがあります。
本書ではその原因を以下の二つであると主張しています。
1.与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を、前向きに認めてもらえないため
2.困っている人を上手く助けてやれないため
ただし、「嫌われる勇気」でも出てきたように、アドラー心理学的には「承認欲求を否定せよ」でした。
つまり、例え誰かに認められなかったとしても、自分が他者貢献できていると思えれば、それで良いのではないでしょうか。
また上手く助けられたかどうかはすぐには判らなかったりするでしょうから、なかなか難しいと思います。
個人的には、燃え尽きるかどうかを決めるのは、5W1Hがしっかりしているギブかどうかだと思います。
先ほどは、「いつ」「どこで」「どのように」「誰に」与えるか、という話をしましたが、さらに、「何を」「なぜ」まで明確になっていれば、決して無駄なギブにはならないと思いますし、後悔もしないと私は思います。
成功への価値観
テイカー、マッチャー、ギバーのそれぞれの成功に対する捉え方が異なります。
人を出し抜いて優れた成果を達成することだと考える
個人の業績と他人の業績を公正に釣り合わせることだと考える
他人にプラスの影響をもたらす個人的なものだと考える。
アドラー心理学の「幸せになる勇気」において、仕事は分業だ、というお話がありました。
一人きりで完遂する仕事はありません。誰しもが何らかの共同体に属しており、他者との関りの中で生きています。
そんな環境下においては、成功=個人の業績+他人への貢献度 という関係が成り立つはずです。
そうであれば、自然と他者をおもいやらざるをえない状況に今後変わっていくでしょう。
結局自己中心的な人はどこに行っても嫌われますよね。
他者と協力・共存するって大事なんですね。
まとめ
人は恩を感じると、また別の誰かに恩を送るようになるそうです。
これを「恩送り」と言います。
例えば昔の上司や恩師に恩返しをしようと思っても、すぐには恩返しできないことはありますよね。
そんな時は他の人に恩送りをすれば良いんです。
そうすることで自分がされたギブが誰かに影響を及ぼし、また別の誰かにギブが伝染していく。
ギブ&ギブの連鎖が広がっていけば、そこにはきっと幸せと活気にあふれた空間があるような気がします。
変化が多く先行き不透明な時代ですが、欲張らずに他者貢献を忘れず、仲間と協力し合いながら困難に立ち向かっていきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント