この本は、元P&Gのマーケター西口一希さんが書かれた、経営ノウハウ本です。
企業経営において大事な視点である「顧客起点」の重要性について語られています。
経営者向けの本とは言え、ビジネスマンとして身に付けて置くべき知識が多いので、サラリーマンの方々は読んでおいて損は無いと思います。
今回もなるべくシンプルに要約&感想を展開していきたいと思います。
結論
事業成長のためには、以下の3つのフレームワークを用いた顧客視点の経営構造を作ることです。
1.顧客起点の経営構造
2.顧客戦略(WHO&WHAT)
3.顧客動態(カスタマーダイナミクス)
3つのフレームワークその1 顧客起点の経営構造
多くの企業、多くの事業において、顧客を十分に理解しておらず、組織全体が一眼となって顧客に向き合える状態にない事が往々にしてあります。
「顧客起点の経営構造」とは、経営の視界に顧客を捉えるためのフレームワークです。
一般的に企業経営とは、経営対象が存在します。プロダクトの開発、製造等、全ての組織活動を指します。
そのような経営活動が顧客心理に影響を与え、購買行動を変え、売上や利益という財務結果へと導きます。
つまり「顧客」は「経営対象」と「財務結果」の間に存在します。
また「顧客」は「顧客心理」「顧客行動」の二つに分解されます。顧客の心理が変わるからこそ行動が変わります。
多くの企業ではこの「顧客心理」がブラックボックス化しています。
「顧客行動」は 売上=顧客数×単価×頻度 の関係が成り立つので、ある程度理解することができます。
ただし、売上という数字は単なる結果であって、その背景にある顧客の心理は知りえません。
「顧客心理」を徹底的に理解することこそが企業経営です。
この考え方は日常の仕事でも当てはまると思います。
次工程がお客様と思えば、自然と他者貢献の念が生まれますよね。
3つのフレームワークその2 顧客戦略(WHO&WHAT)
誰に(WHO)、何を(WHAT)提供すれば価値が生まれるかを明確化することです。
たびたび誤解されるのが、商品やサービスであるプロダクト自体には価値がありません。
有名なドリルと穴の話で考えると理解しやすいと思います。
顧客が欲しいのはドリルではなくて穴だということです。
WHO&WHATの話は森岡毅さんの本でもたびたび登場します。
森岡さんも西口さんも元はP&G出身ということで、同じ思想をお持ちであることには納得がいきますね。
P&Gがいかに凄い企業かという事が肌感覚で理解できます。
3つのフレームワークその3 顧客動態(カスタマーダイナミクス)
顧客動態(カスタマーダイナミクス)とは、マーケット全体の顧客の動きのことを言います。
顧客を大きく分けて5つのカテゴリに分け、そのカテゴリ間の動きを分析する手法です。
1.ロイヤル顧客: 自社プロダクトの上得意顧客であり、購買頻度が高い顧客
2.一般顧客: 購買頻度が低い一般的な顧客
3.離反顧客: 過去に購買の経験があるが、しばらく購買がない顧客
4.認知未購買顧客: 自社プロダクトを知ってはいるが、未購買の顧客
5.未認知顧客: そもそも自社プロダクトをまだ知らない人
この5つに分類した5segs(ファイブセグズ)カスタマーダイナミクスとして、それぞれのセグメントでWHO&WHATを定義する必要があります。
ここまで顧客の解像度を上げるとは正直驚きました。
世に出回っている商品やサービスがこのようにして緻密に設計されていると考えると、逆に消費者の立場で考えた時に、たやすく買わないような思考回路が働きそうだなと感じました。
マーケティングを理解することは、無駄な出費を抑える行動に繋がります。
もしそのような人の行動に興味がある方は、「行動経済学」の本を読んでみると面白いと思います。
人間のなにげない行動には傾向があることが理解でき、自分の行動をコントロールできるようになります。
まとめ
今回は経営に関する書籍を紹介しました。
私は経営者を目指しているわけではないですが、それでも読む価値のある内容でした。
世の中のプロダクトは顧客起点で緻密に設計されており、常に消費者のインサイトを刺激しています。
そのおかげで生活の質が向上して人生が豊かになるケースもあります。例えばiPhoneは良い例です。
しかしその一方で、作り手の利益しか考えていない悪質なプロダクト・サービスがあることも事実です。
情報にありふれた今の世の中において、本当に自分に必要な物を見極める力が我々には求められているのだなと感じました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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