日本を代表するマーケター、森岡毅さんをご存じでしょうか。
これまでにサラバドブログでは彼の著書を何冊もレビューしてきました。
彼の言葉には情熱がこもっており、読んでいると熱さが伝わってきます。
今回紹介する本は、USJのジェットコースターが後ろ向きに走るというアイデアを思い付いたお話を中心に、USJにおける彼のサクセスストーリーが語られています。
アイデアマン森岡さんがいかにして革新的なアイデアを生み出してきたのか、その方法を学ぶことができると思います。
今回もなるべくシンプルに紹介していきたいと思います。
本書の構成
この本は、2010年に森岡さんがUSJに入社し、2014年にハリーポッターのアトラクションが完成するまでのお話です。
USJは2011年にハリーポッターのアトラクションに450億円もの巨額の投資をし、2014年に完成するまでの3年間に様々なイベントやアトラクションを生み出してきました。
USJの経営のV字回復はこのハリーポッターの印象が強いかもしれませんが、実はその裏には数々のヒットに支えられていて、いずれもドラマチックな出来事がありました。
その中でも「後ろ向きに走るジェットコースター」のアイデアを思い付いた描写が非常に面白いので、普段アイデア創出を求められている人には読んでもらいたいです。
アイデアのきっかけは森岡さんが見た「夢」でした。
最後の最後まで諦めずに粘ってアイデアをひねり出し続けていると、アイデアの神様が降りてきてくれるそうです。
アイデアの神様
本書ではそのように表現していました。
ある日突然降臨するそうです。
森岡さん的には、神様の正体は「確率」だとのこと。
ただただ運任せに闇雲に、ゼロベースでアイデア出しをしているわけではなく、
それなりの秩序を保ちながらアイデア出しをしています。
それが次に紹介する「イノベーション・フレームワーク」です。
イノベーション・フレームワーク
良いアイデアを生み出すということは、良いアイデアを思いつく確率を上げることです。
そのために使うのがイノベーション・フレームワークで、具体的には4つの手法で構成されています。
フレームワーク
まず何を考えれば良いかを決めるためのツールです。
本書ではこのフレームワークのことを魚釣りにおける魚群探知機に例えています。
主に3つのフレームワークが紹介されています。
①戦略的フレームワーク アイデアの必要条件を導き出す
②数学的フレームワーク 論理的手法 MECE(ミーシー)的に考える
③マーケティング・フレームワーク ブランディングの手法 本書では割愛
アイデア出しと言えば私は完全にゼロベースから始めていましたが、こうしてロジカルに考えることで、確度の高いアイデアが生まれやすくなるんですね。
リアプライ
「パクること」に似ていますが、厳密には似て非なる考え方です。
他のプロダクトからインスパイアされて、新しいアイデアを生み出す手法です。
日本人は割とゼロベースで始める傾向にあるそうですが、欧米は割とこのリアプライを多様する文化があるそうです。
完全に模倣するのは特許の侵害になりますが、ヒントをもらうぐらいだったら積極的に外の景色を見に行くべきだということですね。
ストック
何かのプロダクトのアイデアを生み出そうと思ったとき、そのプロダクトにある程度精通している必要があります。
その蓄積された情報のことを「ストック」と言います。
アイデアの下地となるような物なので、当然と言えば当然でしょう。
コミットメント
最後は根性論かもしれませんが、必ずアイデアを生み出してやるという強い想いのことです。
森岡さんはこの想いがずば抜けて強かったのだと思います。
他の書籍も読みましたが、森岡さんは本当に粘り強く、負けず嫌いな性格なのだろうと読み取れます。
アイデア創出に対する強い執着心が大事だということです。
森岡さんのメッセージ
本書を読んで印象に残ったのは、「常に変化し続けないと生き残れない」という事。
USJでヒットを連発させ続けているのは、そのようなマインドがあるからこそだと思います。
【マーケティングとは組織革命である】でも主張されていたように、人間には自己保存の本能があり、変化を拒みます。
変化への最大の敵は「現状への満足」とも書かれています。
成功に甘んじることなく、常に上を目指し続けるストイックさというかハングリー精神が大事なのだと学びました。
森岡さん、私も自己保存の本能に抗い、これからも挑戦し続けます!
まとめ
本書はアイデア出しの手法を学ぶという点でも有益ですし、
単純に森岡さんの自叙伝として読むだけでも楽しいです。
ちなみに森岡さんの著書はこれで5冊目ですが、実は私はいまだかつてUSJには行ったことがありません…
できれば森岡さんがUSJに在籍している間に行ってみたかった…
もっと早くこの本に出会っていればと思うと、非常に後悔します。
が、これからも森岡さんのご活躍には期待しているので、今後の動向には注目していきたいと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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