「やめること」それはネガティブなイメージで捉えられることが多いですね。
この本はそんなイメージを払拭するようなメッセージを発信しています。
何かをやめることに躊躇している人にとっては勇気づけてくれる、そんな一冊です。
読み終える頃にはやめることに対する考え方が少し変わっているはずです。
今回も私サラバドの感想を交えながら、コンパクトに要約したいと思います。
結論
「やめる」も「やめない」も自分の意志で選択ができる。
いずれにしても目的意識を明確にし、自分の軸を持ち、情熱を持って選択すれば良い。
それこそが自分の人生であるということ。
私はそんな解釈をしました。
なぜ「やめること」はマイナスイメージになってしまったのか
そもそも「やめること」というのは、ネガティブなイメージをもたれています。
その背景には、忍耐とか努力、諦めないといったキーワードが美化されてきて、そのたぐいの自己啓発書が多く出版されています。
スポーツの世界でも、最後まであきらめるな!とはよく聞くフレーズで、私も何度も言われて育ってきました。
また第二次世界大戦時の日本では「欲しがりません勝つまでは」といった考えが定着していたこともあり、「やめる」=「諦める」=「敗北」というイメージが定着してしまっているのは事実です。
本書では様々な「やめること」のエピソードが登場します。
序盤はドラマや映画の登場人物の話が多いので、まぁ少し非現実的で正直あまり参考にはならないかなと感じました。
中盤から後半にかけては実在するであろう人物のお話が紹介されているのですが、全て外国人のエピソードなので、
我々日本人からしたらまた少々浮世離れ感が否めないので、あくまで参考情報としてインプットすると良いかもしれません。
なぜやめられないのか?
本書の中では、やめられない理由が色々と述べられています。
ここでは私の考えも交えながら、いくつか紹介したいと思います。
社会的地位を失うことを恐れているから
例えば会社員が転職をしたい、と考えた場合、これまでのキャリアで築いてきたポジションを失うことを恐れます。
重要なのはある業界での経験だけではなく、どの業界でも通用するようなポータブルスキルも同じです。
履歴書の内容ではなく、良好な人間関係を築けているかが大切だと本書に登場する人物は述べています。
他者の目が気になるから
社会的地位を失うことと関連しますが、何かをやめると他者から色々なことを言われます。
例えば大学を中退する、新卒で入った会社を早々に辞める、となると、かなりの確率で親が介入してきます。
中堅のサラリーマンが転職するときも、同僚にああだこうだ言われることもあるでしょう。
多くの人がこういった外部からのノイズを想定し、やめることを躊躇するはずです。
しかし「嫌われる勇気」的に言わせれば、自分のことを他者がどう見るかは他者の課題であって、自分の課題ではありません。
ここは明確に課題を分離して、自分の人生に必要であれば、前向きにやめれば良いんです。
ちなみに「嫌われる勇気」の要約記事もありますので、興味があればお読みください。
新しいことを始めないから
人間は新しいことに対する抵抗感があります。
新しいことを始めたいと思っても何かにつけて理由をつけてやろうとしない。
新しいことを始めれば、自然と何かをやめざるを得ない状態に追い込まれます。
やめることに慣れるためには、より多くの新しいことを始めよと本書では述べています。
そもそも多くの人が現状維持を好み、新しいことへの免疫がありませんよね。
歳をとればとるほどその傾向が強くなります。
新しい挑戦は多少なりともストレスに感じますが、自分を成長させるポジティブなストレスは体に良いと聞きます。
心身共にいつまでも健康でいられるように、新しいことを始めるのは大事な取り組みかもしれません。
サンクコストの誤謬(ごびゅう)
これは行動経済学に登場する有名な用語です。
自分がお金や時間、愛情を注ぎこんだモノに対しては、なかなかやめられない/手放すことができない、という心理的傾向のことを言います。
例えば会社で言えば、その企業のお家芸的な技術を駆使して作られた製品があるとする。
しかしその製品はほとんど売れず、その事業は赤字続き。
事業を手放すか否かを考えたときに、古くから伝わる伝統技術で、ここまで育てるのに莫大な資金をつぎ込んでいる。今更やめるわけにはいかない。
といったように、これがサンクコストの誤謬です。
昔高いお金を出して購入した洋服とか、なかなか捨てられない心理も同じですね。
サラバドブログでは行動経済学の本もレビューしています。ご参考にどうぞ!
まとめ
やめることが終わりを意味するのではなく、長い人生の一部で考えれば、それは始まりでもあります。
やめることを価値あることとみなし、やめることと上手に付き合っていけたら幸せな人生になると思います。
本には、やめて人生が好転した人や、やめたことを後悔している人も登場します。
色々なやめるケースが紹介されていて、積極的にやめることを推奨しているわけではありません。
やめてもやめなくても結局どっちでもよくて、大事なのは自分の意思で選択できるということです。
私は一度転職を経験していますが、それこそ辞めるときはそこで人生が決まってしまうぐらいの妄想をしていました。
ただ、新しい会社で働き始めたことで、新しい価値観を持ち、新しい人間関係を構築することができ、様々なことに挑戦できるようになりました。
私は過去でも未来でもない、今を精一杯生きるために、「やめること」を選択肢の一つとして今後も利用していこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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