今回紹介するのは、読書系の本です。
まずそのタイトルに惹かれてしまうと思います。年収が10倍ってそんな大げさな…と思いつつも手に取ってしまいます。これぞ人間の心理を逆手に取った販売戦略でしょうか。
というよこしまな考えを私は抱いておりましたが、読んでみるとびっくり。学びが多すぎて何度も読み返したくなる一冊でした。超お勧めです。
というわけで、なるべくこの本の良さが伝わるように、シンプルに紹介していきたいと思います。
著者:山本 直人さん
1978年生まれ、熊本県出身。九州大学経済学部→北陸先端科学技術大学院大学知識科学修士
(株)USEN→(株)ドリコム→(株)エンターイノベーション設立(代表取締役社長)
企業研修講師、経営コンサルタント、ファシリテーターとして数多くの企業研修を実施。
これまで読んできたビジネス書は2000冊に及ぶとのこと。
これだけの経験を積んだ方が書いた読書法の本なので、説得力高いこと間違いなしです。
本書の狙い
読書法に関するビジネス書は書店に行けばたくさん出会うと思います。どの本を選択すべきか迷いますよね?
おそらくその多くは、「速読」「多読」「読んだら忘れない」などをうたった本ではないでしょうか。
しかし本書はそういった内容ではなく、「年収」つまり「収入」を主眼としています。読書で得た学びを収入に変えていくための行動指針が記されています。
当然、娯楽としての読書を否定していませんが、どうせ読書をするなら自分のためになる読書をしたほうが良いですよね。
ビジネス書を読もうと思っている人は、心のどこかでこう思っているのではないでしょうか。
「業務に役立つスキルを身に付けて、給料をアップさせたい。だから〇〇スキル系の本を買って勉強しよう。」
このように、収入アップという目的のために本を買った経験がある方は多いのではないでしょうか。本書ではそのような人間の欲に対してストレートにアプローチする、清い一冊です。
年収10倍を目指す理由
まずはタイトルについて触れておきます。
「年収10倍」のように、目標は高く設定するほうが良いと本書では主張します。
例えば年収を10倍にするには2倍、3倍にしなくてはいけないですが、途中で停滞して結果的に2倍で終わってしまったとしても、それはそれで良いと言います。確かに年収2倍でも相当すごい事です。
要は、もちろん目標達成のために全力で努力はする。しかし行き着いた先が違っていても、方向性さえ間違っていなければ前進はしています。そこに意味があるのだろうと私は解釈しました。
以前読んだ「嫌われる勇気」で、「ダンスをするように生きる」というフレーズがありました。通じる部分があります。
利益思考
本書では「利益思考」を 自分の業務を収益的な価値に結び付けて考えること と定義し、その重要性を主張しています。
企業に勤めるビジネスパーソンの皆さんは毎月賃金が支払われています。
個人事業主とは異なり、製品・サービスを直接顧客へ販売しているわけではないので、自分の目の前の業務が利益に直結することを意識しながら働いている人はあまり多くないのではと思います。
ややもすれば、惰性で会社へ行き、なんとなくルーチン作業をこなす毎日を過ごしているのではないでしょうか。
「利益思考」があれば、目の前の業務がどう利益に直結するかを意識します。そうなれば利益に繋がらない無駄な業務は省こうと努力します。
読書も同様で、インプットで終わる読書ではなく、利益思考を意識した読書が大切です。
問いを立ててから読む
何も考えずに本を読み始めるよりも、あらかじめ問いを立ててから読み始めることをお勧めします。
本のタイトルや目次を読み、「つまりこの本は何を言いたいのか?」という問いを立て、自分なりの仮説を立てる。そして読み進めながら自分が立てた仮説を検証していく。
仮説を立てることで自分の主張と著者の主張を対比することができます。この行為によって学びの量と質が向上します。
ちなみに自分の仮説と同じ内容が書かれていれば、その部分は読み飛ばしてしまっても良いです。そうすることで読書時間の短縮に繋がります。
このような「問いを立てる」という行為は普段の仕事においても当てはめることができます。
目の前の業務について問いを立て、自分の仮説を作る。そうすると業務の目的を考えて動く癖が身に付きます。あとは先述の「利益思考」に従うのみですね。
本の全体像を俯瞰する
本書で述べられているのは、「著者の主張を正確に理解することの重要性」です。それにはコツがいると言います。
一定の軸を持ち、主張を分類すると良くて、その分類軸が紹介されています。
・ポジティブスタンスか、ネガティブスタンスか
・メリット重視か、デメリット回避か
・主観的か、客観的か
・挑戦的か、保守的か
・抽象論か、経験主義か
・短期的視点か、長期的視点か
・理想的か、現実的か
この軸によって本の内容を整理することができます。今まで読んだ本や自分の意見との比較も容易になります。
また、こうして分類軸をもって本を俯瞰するという行為は、具体と抽象の行き来そのものです。ビジネスパーソンには必須なスキルで、「利益思考」を身に付けるためにも重要な思考術だと思います。
具体と抽象に関しては以下の書籍がお勧めです。
まとめ
・目標は高く設定し、達成するために精一杯努力をしよう
・「利益思考」を意識した読書をしよう
・問いを立て、仮説を設定してから読み始めよう
・分類軸を持って本の全体像を俯瞰しよう
最後に一つ、本書を読んで最も心に刺さったパートを紹介します。
それは、問いと仮説を立てて筆者の意見と比較することで、視野が広がり、「思考の癖」に気づくことができる、と言います。
この「思考の癖」という考え方は今まで私は持っていませんでした。
私の場合はその無意識自体が「思考の癖」であり、今後も読書を続けていくことで思考の幅が広がっていけば良いなと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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