元リクルート社の人事マネジャーである坪谷さんの「100のツボ」シリーズ本。
今回紹介するのはその中でも組織開発に関する本です。
組織を良くしたいと思う人は必見の内容です。
基本情報
発売日:2022年2月18日
ページ数:442ページ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:坪谷邦生
「100のツボ」シリーズは当ブログで紹介してきました。
このシリーズはボリュームが大きいものの、判りやすい絵をふんだんに使って説明をしてくれるので、読みやすく理解しやすいのが特徴です。
また坪谷さんの熱い想いも全面に出ていて、坪谷さんのその熱さを分けてもらって読者の我々にも火が付きそうです。
本書の構成
この「100のツボ」シリーズは、著者の坪谷さんが100個のポイントを厳選して紹介しています。
そして今回のテーマは組織開発です。
組織とは何かから始まり、先人たちが提唱してきた数々の理論を坪谷さんが判りやすく嚙み砕いて説明してくれます。
組織開発の理論が比較的多いせいか、全体的にアカデミックな毛色が強く、一気に読むにはそれなりに体力が必要です。
全てを一度に理解する必要はなく、必要に応じて部分的に読むのも良いでしょう。
また坪谷さんがチョイスした参考文献も豊富に掲載されているので、組織開発を生業にするのであればまずは手元に置いておきたい一冊です。
開発の語源
組織開発の「開発」。この語源を辿ってみましょう。
元々は仏教用語の「開發(かいほつ)」なんだそうです。
なるほどということで、仏教用語の開發を少し調べてみました。
仏教用語における「開発」(開發)は、通常の意味とは異なり、特に精神的・宗教的な文脈で使用されます。この場合、「開発」とは、仏法を学び、実践することによって、心や智慧が開かれ、成長していく過程を指します。具体的には以下のような意味が含まれます。
- 心の発展: 仏教の教えを実践することで、煩悩を克服し、清らかな心を育むことを指します。これにより、仏の智慧や慈悲の心が開かれるとされています。
- 悟りへの道: 修行を通じて、真理を理解し、悟りを得るための道程を「開発」と呼ぶことがあります。これは、内面的な成長や精神的な進化を表しています。
- 智慧の開顕: 仏教の学びを通じて、真実の理解や智慧が開かれることを意味します。この智慧は、物事の本質を見抜き、執着や無明から解放されるために重要です。
したがって、仏教における「開発」は、単なる技術や物質的な進歩ではなく、精神的な成長や悟りに向かうプロセスを強調する言葉です。
組織開発としては物理的なニュアンスよりも、こちらの精神的なニュアンスのほうが近いかもしれませんね。
多様化している現代こそ組織開発を
かつての日本、例えば高度経済成長期には、「多様性」なんて言葉は間違いなく使われていなかったでしょう。
単一のマネジメントを「カンと経験」でやっていれば上手くいっていた時代です。
しかし今となっては働き方も価値観も多様化していて、従来のマネジメントは通用せず、また自己流でも上手くいかないでしょう。言ってしまえば正解が無いのです。
ちなみに人間という漢字は「人」の「間」と書きます。人と人がいて成り立つわけで、組織とは切っても切れない関係にあると言えます。
リーダーであろうがなかろうが、組織の一人一人が当事者意識を持ち、自分たちの組織を良くするために考えていく必要があるのかもしれません。
リーダーは物語を使う
下記の書籍において、リーダーはストーリーテラーとしての役割を担うことが重要だ、とありました。
物語を使うと、他者の視点から人間を理解することができます。
相手に共感することで相手の感じ方や考え方を知る。
そのためにも小説をたくさん読みましょう。
多様な追体験をすることで共感力が磨かれていきます。
確かに小説には個性的な登場人物が多いですよね。
どうせフィクションだからと考えず素直な気持ちで読んでみると、多様性が重要視される現実世界においても何かしら役に立つこともあるのではないでしょうか。
まとめ
今回は本書の内容をほんの少しだけ紹介してみました。
実際にはもっと濃い話になっていて、組織開発がいかに奥が深いかが理解できるはずです。
組織と言っても色々な形があります。会社はもちろん、サークルや部活動、地域のコミュニティだって立派な組織です。
つまり組織開発は会社勤めの管理職に必要と思われがちですが、決してそんなことはありません。
人は誰しもが何らかの組織の一員です。自分の組織を良くしたいと思いませんか?
少しでもそう思ったのならば、自己流ではなく体系的に組織開発について学ぶべきでしょう。
本書はそんな人にとってのバイブルになる一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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