終身雇用、年功序列制度の崩壊と叫ばれている今の世の中、多くのビジネスマンが自分の「専門性」を高めたいと考えています。
本書ではそんな「専門性」の身につけ方を、広告代理店の大手電通の国分峰樹さんという方が、ビジネスマンと研究者の両面からヒントを与えてくれます。
国分さんのようなハイブリッドな視点から主張されると、リアリティがあって説得力があります。
ぜひ多くの方に読んでもらいたい一冊です。
それでは今回もシンプルに紹介していきたいと思います。
結論
誤解を招く言い方かもしれませんが、本書の結論をまるっと表現するならば、
「研究者になれ」ということだと思います。
なぜ「研究者」なのか、なるべく簡潔に説明していきます。
著者:国分峰樹さん
「研究者になれ」という結論を説明するために、著者の国分峰樹さんについて知っておく必要があります。
電通という巨大組織でリーダーを勤め、さらに現役の研究者としての一面もあり、さらに複数の大学で非常勤講師を務めている。
そして極めつけがこの書籍の出版ということで、もう何でもありなスーパーマンですね。
ひとまずこんなバイタリティーの塊みたいな人が書いた本だということを頭に入れて欲しいです。
なぜ研究者なのか
私は理系出身で大学では物理学を専攻していましたが、ゴリゴリの研究者ではありません。
そんな私というフィルターを通して本書の考えを表現します。
研究に終わりはなく、正解もありません。
専門知識をインプットし、自分で専門知識をアウトプットしていく作業です。
今の世の中は変化が目まぐるしく、取り入れた専門知識もすぐに陳腐化してしまいます。
そのたびに新しい専門知識をインプットするのも良いでしょうけど、重要なのはインプットした専門知識を使ってさらに新しい専門知識をアウトプットすること。それが専門性です。
大学のゼミや研究所は本来そのように新しいアイデアやイノベーションを生むための場であり、それこそが研究なのです。
近年ではリスキリングと言って社会人になってから大学に通って修士や博士を取られるかたも増えてきましたよね。
専門知識と言っても、言葉の定義をはき違えないように気を付けたいですね。
専門知識とは構造化された知識である
専門知識とは研究によって新たに生み出されるものです。
では専門知識とは一体何なのでしょうか。
それは、「体系化された知識」だと言えます。
個々の知識がバラバラなままで体系的に組み立てられていないと、専門知識とは呼べません。
ここで著者の国分さんはChatGPTに「体系化された知識」について聞いた結果を紹介していました。
- Q体系化された知識とは何ですか
- A
体系化された知識とは、ある分野の知識を整理・分類することで、構造的に組み立てられた状態のことを指します。つまり、知識がばらばらに散在しているのではなく、分野ごとに必要な概念、原理、原則などが系統的に構成され、それぞれが相互に関連付けられた論理的な体系ということができます。
~以下略~
なるほどですね。なんとなく、論理的であって首尾一貫しているかどうか、ということだと私は考えました。
ちなみにSNSやYouTubeをはじめとするネットから得られる情報は断片的な知識で、
体系的な知識を得るには「本」が最も好ましいそうです。
このブログは特に断片的な情報しか与えられてないので、その断片的な情報で少しでも興味を持ってくれる人がいれば、ぜひ本を読んでいただくことをお勧めします。
仕事とは無関係な知識もインプットしてみる
自分の仕事に直結する資格や知識をインプットする事は一見素晴らしいことのように見えますが、先ほども述べたように、市場のトレンドは移り変わっていくものなので、必要とされる専門知識も時代と共に変わっていきます。
そんな視野狭窄に陥らず、大局観を身に付けるためには、様々なジャンルの情報をインプットすることが重要です。
本書で紹介されているのは、現時点で自分には最も役に立たないような学問にアプローチすることです。
そのような意味では、幅広いジャンルの本を読むのは手軽で都合が良いです。
私もなるべくそのあたりを意識してこれからも読書に取り組んでいきたいと思います。
本を読む目的から判ること
さて、ここで本を読む目的について、本書で非常に興味深い捉え方をされていたので紹介します。
本を読む目的は「答えを見つける」ためではなく「問いを見つける」こと
正直私はまだまだ読書初心者なので、前者の考えで頭が一杯でした。
ただ、得た知識から自分の好奇心を刺激し、さらに深く知りたい欲求に駆られるのは読書をしていて実感があります。
読書の醍醐味はそのような点にもあるのだと思います。
またそうした探求心から、自ら問いを立てて深掘りしていく。この「深堀力」がだんだんと磨かれていきます。
この「深堀力」は冒頭に述べた「研究者」に繋がるマインドで、別にがっつり大学の研究室に入り浸らなくても強化できるマインドだと私は思います。
まとめ
近年特に重要視されている「専門性」ですが、この本を読むことでアプローチの仕方が少し判った気がします。
ただ色々なことに正解が無いように、この本が正解とも言い切れません。
人によっては正解になったりならなかったりすると思います。
重要なのは何かに従って行動するのではなく、何が正解かを自分で考えて行動することだと思います。
私も本書をきっかけに、自分らしい専門性のあり方を考え、その通りに行動していきたいと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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