経営者が書いた本は本人のこれまでの紆余曲折が赤裸々に書かれていることが多く、個人的には読んでいて面白い。
経営者を目指していなくても、一つの人生勉強として読む価値はあるだろう。
そんな経営者本で興味深い一冊を読んだので、今回紹介していく。
基本情報
発売日:2022年3月25日
ページ数:143ページ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:櫻井大輔
大京警備保障株式会社 代表取締役社長
東京都生まれ。高校卒業後、警備会社でアルバイトを経験。
その後メールオペレータ―、Webデザイナーを経て、28歳で父が経営する大京警備保障株式会社に入社。その後、31歳で事業承継。経営改善に着手。福利厚生、社内外との連携、全てがアナログだった環境を改善し「IT化」を図る。警備業界では活発ではなかったSNSを駆使し、外部へのブランディングを行う。特に社内の人間の雰囲気や人間性がわかるような動画を数々投稿する事で、SNS総フォロワー数は150万人、TikTokt等動画の総再生回数は3億回以上と着実に知名度を上昇させている。
引用Amazon
どんな本なのか
「大京警備保障株式会社 」という警備会社の社長である櫻井氏が書いた本である。
人手不足に喘ぐなか、社長である櫻井氏が考案したのがSNSの活用。
特に「TikTok」を推奨しており、この企業がいかにしてTikTokを使って知名度を上げていったかを紹介している。
業界は違えど、中小企業の経営者あるいは採用担当者は参考にできる内容が多分に含まれているだろう。
なぜTikTokなのか
私はTikTokに関しては全くの無知である。なので、知っている人からすればなんでそんなことも知らないのだとバカにされるかもしれない。
TikTokはフォロワー数に関係なく、AIが「おすすめ」に上げてくれるので、極端に言えばフォロワー0の超初心者でも、興味を惹くような動画をアップすれば、バズって一躍有名になれるというわけだ。
またTikTokは海外とのユーザーとも繋がりやすいらしく、世界のトレンドを即時に把握することができる。
InstagramやTwitterはコツコツとフォロワーを増やしていく必要があるが、その点TikTokは始めた瞬間から誰にでも平等にチャンスがあるということである。
中小企業に限らず、例えば個人事業主、当ブログで紹介した「自分業」を育てようと思った場合、TikTokは非常に有効なツールになりそうだ。
大京警備保障株式会社の戦略
では彼らは一体どうやってTikTokで知名度を上げたのだろうか。そのエピソードが本書の見どころではあるのだが、今回は要点をかいつまんで解説したい。
まず手始めに、仕事とは全く関係ない内容の動画をTikTokに上げて、社員の露出を多くした。おもしろ動画を公開することでシンプルにファンを増やしていき、フォロワーを増やしていったわけだ。
そういった社員の個性を丸裸にすることで、その企業で働く人材の素の部分を多くの人に見てもらう。言ってみれば社員のリアルだ。彼らは社員のリアルを積極的に開示し、ファンを増やしてから社員募集の発信をしていったのだ。
この順番がキーポイントだったと言える。
企業のPR、特に求人広告ともなれば、やはり見栄えが良くて、聞こえの良い話を掲載しがちである。
しかし求職者が知りたがっているのは「リアルな情報」である。
社風や働きやすさ、生生しいところでいけば、上司と部下の関係性なんかも知りたいと思うだろう。
彼らは社員のリアルを公にしてファンを増やしたことで社員募集に多数の応募があり、結果的に採用に繋がったのだ。
評価経済社会を体現している
岡田斗司夫氏は「いいひと戦略」にて、「貨幣経済社会」から「評価経済社会」へのパラダイムシフトを主張していた。
大京警備保障株式会社の戦略はまさにこの「評価経済社会」に適応しており、上手くやり抜いたと言えよう。
これからの社会、いや現在の社会はもはや「評価経済社会」であり、企業だけでなく働く個人も適応する必要性に迫られていると私は感じる。
これまでは雇われる企業という「村」の中で生活していれば良かったが、「村」から「村」への移動はもはや当たり前、これからは「小さな村」を自分で作ったり、「旅」をすることも普通の世の中になっていくだろう。
となれば既存の繋がり方だけでは限界で、SNSを活用した繋がりはマストと言えよう。
時代の変化に自分もアジャストしていかねばならない。
まとめ
大京警備保障株式会社のSNS活用術を知り、これからの世の中の生き抜き方を学ぶことができた。
一昔前では考えられなかったことが今ではもはや当たり前となっている。
今の当たり前が数年後には当たり前ではなくなる可能性もある。
それだけ情報化した現代の変化は早いということに気が付く。
であればトレンドを察知し、自分を変化させていく重要性が理解できるだろう。
多くのビジネス書で言われていることではあるが、自由な人生を手に入れたければ情報をインプットし、行動しなくてはいけないということだ。
この一冊から多くの学びを得ることができた。
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