ベストセラー作家、橘玲さんの書籍を紹介。
2017年に新書大賞を受賞した「言ってはいけない残酷すぎる真実」の続編というか、シリーズ本的な位置付け。
普段何気なく生活して無意識になって受け入れている情報を、あえて異なる角度から切り込んでいて、新たな視点を与えてくれます。
個人的に気になったポイントに絞って紹介していきたいと思います。
基本情報
発売日:2022年10月15日
ページ数:236ページ
出版社:新潮社
著者:橘玲さん
橘玲さんは数多くの著書があり、豊富な知識と研究結果から裏付けられた科学的根拠を基に論理を展開する点でどれも説得力があります。
正直、同じ日本語とは思えないぐらい難解な言い回しもたびたび登場しますが、脳トレとしてもちょうど良い書籍なのかなと私は捉えています。
バカとは何か
「バカ」の正体は、「ダニング・クルーガー効果」で説明がつきます。
ダニング・クルーガー効果はビジネス書ではたびたび登場する有名な認知バイアスです。
他者からの評価と自己評価の間にズレが生じるというもの。
以前紹介したDaiGoさんの書籍でも確か取り上げられていました。
要は、「バカは自分がバカであることに気がつかない。何故ならバカだからだ」ということです。
つまり二重の無知であり、単なる無知とは違う。それが「バカ」という定義です。
記憶は偽物
興味深い一節が書かれていました。
近年の脳科学の発見として、実は脳には記憶が保存されていないということです。
これまではハードディスクのように情報や映像が記録されているようなイメージを持っていましたが、実はそうではなくて、脳がなんらかの刺激を受けると、そのたびに記憶が新たに構築されるそうです。
このプロセスを著者の橘さん「記憶はある種の流れであり、思い出すたびに書き換えられているのだ。」と表現しています。
そう考えると、トラウマに対する見方も変わってきそうですね。
本書ではトラウマに対する研究結果も詳しく書かれており、解説されています。
過去も未来も存在せず、あるのは目の前の現実のみ。今を真剣に生きようというのは納得いきますね。
積極的にトラウマを否定しましょう。
本書のコアメッセージ
人間の本性はバカと無知の壁である、ということに気がつくこと。
そして自らの言動に注意を払うようになれば、生きやすい社会になるだろう。
これが著者、橘玲さんからのメッセージです。
つまり認知バイアスが働いている状態をメタ認知し、言葉や行動を慎重に選択すること。
そんな冷静さが現代の日本人には求められているのでしょう。
なんでもかんでも衝動的に発しているだけでは、単なる動物です。
人間に与えられた脳の機能をフル活用し、人生を豊かにしていきたいですね。
まとめ
・バカの正体は、二重の無知だということ。
・脳は過去を記録しているわけではない。トラウマを乗り越え、今を生きよう。
・バカと無知の壁を認識し、言動に注意を払うこと。
本書のタイトルだけ見れば少々刺激的ではありましたが、読んでみると色々と考えさせられるものばかりでした。
それこそマスメディアに洗脳や誘導されている自分がいたり、偏った見方をしていたと思い知らされました。
まぁ読書もある意味洗脳ではありますが、多読によってバイアスは打ち消すことができ、むしろ柔軟な考え方ができるようになります。
その点では読書に限らず、幅広いメディアを利用したほうが、情報化社会を生き抜く術になるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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