【愛されなくても別に】紹介と感想│小説│書評

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今回紹介する小説は、2021年/第42回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃さんの「愛されなくても別に」です。

現代の若者の悩みにフォーカスした、読み応えのある一冊です。

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基本情報

発売日:2023年7月14日

ページ数:272ページ

出版社:講談社

著者:武田綾乃

1992年京都府生まれ。第8回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が2013年に出版されデビュー。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化、コミカライズなどもされ人気を博している。2019年、『その日、朱音は空を飛んだ』で第40回吉川英治文学新人賞候補。その他の著作に、「君と漕ぐ」シリーズ、『青い春を数えて』『石黒くんに春は来ない』『どうぞ愛をお叫びください』がある。

引用Amazon

あらすじ

主人公は宮田陽彩(ひいろ)という女の子。両親が離婚し、母親と二人で暮らしながら大学生をしながらアルバイトをする日々を過ごす。

この陽彩の母親が曲者で、とんでもない浪費家なのです。そのため陽彩は学業よりもアルバイトに自分の時間を使い、毎日ただただ自分の身をすり減らしていくだけ。

そんなある日、同じアルバイト先の大学の同級生、江永雅(みやび)と少しずつ距離を縮めていく。次第にお互いの似たような境遇に共感し、時間を共にしていく。

生きづらい現代の環境において、陽彩と雅はどのように納得しながら人生を歩んでいくのか、そのあたりが見どころです。

不幸の物差しは自分次第

陽彩は自分の不幸さを他人と比較して自分を責めてしまい、なかなか前を向くことができません。

そこで大学の同級生である木村に言われる言葉が、

「不幸って、他人と比較できることじゃないじゃん。」

確かにその通り。幸福の物差しが自分の中にあるように、不幸の物差しも自分の中にしかない。

大学生という多感な年頃だからこそ、そのあたりのメンタルの持ち方は難しいのでしょうね。

こうして小説の中の人物が悩む姿を客観的に見ることで、自分だったらどう考える?というケーススタディになります。

人間関係は流動的である

巻末にある三宅香帆さんの解説に興味深いことが書いてありました。

「人間関係は流動的であり、人生で少しだけ触れあった他者によって救われることもある」

これは人間関係の本質を突いている気がしますね。

人の成長と共に付き合う人を棚卸しして、その時々にあった人と過ごせばいい。

とはいえ、これまで付き合ってきた人間関係は無駄にはならず、今の自分を構成する大事な要素となっている。私はそのように理解をしました。

愛されなくても別に ーまとめー

人間の幸福は対人関係の中にこそある、と下記の書籍でありました。

愛することは技術です。愛されなくても良いから愛する技術を身に付ければ、人生の見かたも変わってくるかもしれません。

愛するからこそ必要になる。大切な人とはそんな関係性でいたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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