たったの10秒間で人の印象が決まってしまう。
コミュニケーションの良し悪しはこの10秒間で全て決まってしまうのかもしれない。
失敗は経験と言えど、あらかじめ回避できる失敗は回避しておくに越したことは無い。
そのためにもまずは本書を読み、10秒を乗り切るテクニックを身に付けたい。
基本情報
発売日:2022年3月25日
ページ数:350ページ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:佐藤綾子
長野県生まれ。信州大学教育学部卒。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究科卒(MA)。上智大学大学院英米文学研究科卒(MA)、同博士課程修了。立正大学大学院心理学専攻、博士(パフォーマンス学・心理学)。日本大学藝術学部教授を経て、ハリウッド大学院大学教授、(社)パフォーマンス教育協会理事長、(株)国際パフォーマンス研究所代表。
自己表現力養成セミナー「佐藤綾子のパフォーマンス学講座」主宰。パフォーマンス心理学の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーとエグゼクティブ、首相経験者を含む56名の国会議員等のスピーチ指導を行っている。
引用Amazon
本書の構成
タイトルの通り、コミュニケーションにおける「10秒」がいかに大事か、ということを説いている。
このたった「10秒」で人の印象を決定づけてしまい、人間関係の明暗が分かれてしまうと言っても過言ではない。
この「10秒」に勝利するために、本書ではシチュエーション別にNG例とOK例を紹介している。これらのNG/OK例は全て10秒程度で簡潔するフレーズであり、よくあるシーンばかりのため、日常で活用できること間違いなし。
あとがきに書かれた言葉がとても印象深い。1日も1週間も1年も、結局は日々の10秒の積み重ねであるとのこと。この10秒を大切にできるかどうかで人生が大きく変わると著者は述べている。
こんなに深い言葉を読者に贈りつつ、コミュニケーションのノウハウも教えてくれるなんて、本書は有益すぎる。読まない理由が無いだろう。
ケーススタディ1 上司の昇格と栄転を聞いたとき
本書で紹介されているケースを紹介する。
上司、あるいは先輩が昇格・栄転したとき、お祝いの言葉を素直に贈りたいと思う人もいるだろう。
そこでやりがちなのが、さしでがましい勝手な判断で賞賛しないことである。
昇格・栄転が確かなことであっても、例えば本人がそれをさらなる飛躍のチャンスだと思っているかどうかは分からない。部下・後輩がそれを断定するのはリスクだ。
こんな時は、自分も含めた仲間からの祝いの気持ちと、健康への気遣いを言葉にする程度で良い。
何事も決めつけは良くない。当たり障りがなく、それでいて相手を思いやる言葉がすぐに出せるようなビジネスパーソンになりたいものだ。
ケーススタディ2 会議で新しいアイデアを提案するとき
会議や会話の中で新しいアイデアを提案するシーンはよくあるだろう。
そんな時、相手のやりかた、これまでのやり方を否定してから自分のアイデアを提案するのは上手いやり方ではない。
否定的な言葉から入ってしまうと、仮にそのあとの提案が良かったとしても、印象は良くない。
誰だって自分のやり方にケチをつけられたらいい気はしない。こういったところで相手の気持ちを慮れるかどうかが試される。
そうではなくて、まずは相手がこれまで気づき上げたものを肯定する。それから自分のアイデアを付け加えることでもっと良くなるのでは?と提案する。
相手も自分も肯定することで、傷つく人は誰もいない。みんなハッピーだ。非常に上手いやり方である。
本書を繰り返し読めば、こうした自然な気遣いができるスマートな人間になれるだろう。
まとめ
本書は小難しいビジネス書とは異なり大変読みやすく、それでいてすぐに活用できる有益な一冊である。
会社勤めのビジネスパーソンは、会社での実務だけこなしていればそれで良いと思いがちである。つまり自分の経験と勘だけで仕事をこなす人間が多い。
しかし本書で解説されているようなコミュニケーションのノウハウを学ぶことも肝要である。
自己流で生き抜いていけるほど今の世の中は甘くないと私は思う。
守破離のごとく、まずは他者から学ぶことから始めてはどうか。
人間1人の経験なんてたかが知れている。少なくとも私は自分1人の経験と勘だけで人生を豊かに出来るとは到底思わない。だからこそ学び続ける必要がある。
10秒という今を丁寧に積み上げていきたい。
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