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日本企業のビジネスパーソンはモチベーションが低いというキャッチ―なタイトルが目を惹く一冊を紹介したい。
出版は2015年ということで古い情報を基にした考察にはなるが、海外から日本人がどのように見られてきたかは興味深い点だ。
冗長な点は否めず、読破するには多少の読書体力が必要にはなるが、人事関係の仕事をしているビジネスパーソンにとっては一読の価値がある書籍である。
概要
海外の専門家から見た日本企業の社員の姿について語られている。
我々が国外からどのように見られているのか。異なる視点での考察が可能だ。
特にアメリカ企業との比較や、日本企業の歴史的な背景を基にした論評は我々に多くの示唆を与えてくれるだろう。
また本書は日本企業の社員のモチベーションが低いという前提に立っており、どうすればやる気が上がり、生産性が向上するのかという提言をしている。
この筆者から見た日本人が全てのビジネスパーソンを表しているわけではないが、貴重な意見として参考にできる要素はあるはずだ。
様々な角度から我々の労働の質を上げていく。そのための材料として活用していきたい。
学び
企業が必要としているのは社員ではなくステークホルダー(利害関係者)だと提唱している。
これはマネジメントコンサルタントのチャック・ブレイクマン氏の言葉だ。
社員からステークホルダーへ昇華させることで、自ずと意識や行動が変化していく。
高度経済成長期、工業化時代の真っ只中にあった日本では、企業と社員の関係は服従と従属が中心だった。このパラダイムを引きずっていることが社員の創造性とモチベーションを欠如させている要因なのかもしれない。
会社に依存せず、自律し、対等な立場でいることがモチベーション向上には大事なのかもしれない。
日本では1986年に施行された雇用機会均等法により性差別は違法とされているが、雇用機会均等に関する法律を1964年に定めたアメリカと比較して、職場での平等はまだまだ遅れている。
男女の雇用に関する歴史を辿ってみると、日本はアメリカに対して20年遅れている。
日本はジェンダーギャップ指数が世界的に低いという現実があり、他の先進国にはまだまだ遅れをとっている。
しかしこれは今に始まったことではなく、この遅れを取り戻すには相当な年月が必要だということが理解できるだろう。
今のアメリカが20年後の日本を表していると考えれば、物事の見方や考え方がだいぶ変わるかもしれないね。
まとめ
本書は日本の働き方を網羅的に解説している一冊だった。すべての日本企業がこのケースに当てはまるわけではないが、歴史的な背景や海外との比較はこれからの働き方を考える上で重要な思考材料となるだろう。
自社の外に目を向けるということは、自分を俯瞰する上で大切な行為である。
先行き不透明な世の中だからこそ、外の世界をしっかり見つつ、生き抜く術を身に付けていきたいものだ。「観察力」も大事である。
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