【図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ】要約と感想│ビジネス書│自己啓発本│書評│

📚読書

人事の基礎を学びたい。そんな人にうってつけの一冊を発見しました。

この一冊で人事に関する知識が網羅されるので、人事部の方はもちろん、私のような一般の会社員にとっても必読な書です。

今回も個人的に気になった点をピックアップして本書を紹介していきたいと思います。

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基本情報

発売日:2020年6月26日

ページ数:271ページ

出版社:ディスカバー・トゥエンティワン

著者:坪谷邦生さん

略歴:1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し現在。

引用:Amazon

坪谷さんは、かの有名なリクルート社で人事コンサルをやられ、その後起業しています。

ビジネス書の著者によくあるパターンの経歴です。憧れますね。

本書の構成

人事に関するあらゆる基礎知識が集約されています。

特に「100のツボ」と題しているように、100個のポイントを抽出して解説しています。

また本書はわかりやすい図が使われているので、とても親切です。

全体は10のChapter+4社の実例で構成されており、読者のバックグラウンドに応じて自由にアクセス可能になっています。

Chapter.1 人材マネジメント

Chapter.2 人事評価

Chapter.3 賃金・退職金(外的報酬)

Chapter.4 働きがい(内的報酬)

Chapter.5 等級

Chapter.6 採用

Chapter.7 異動・代謝

Chapter.8 人材開発

Chapter.9 組織開発

Chapter.10 働く人

4社の実例 サイボウズ社、アカツキ社、リクルート社、トヨタ社

人事とは

どの企業にもある人事部。さて人事の役割とは一体何なのでしょうか?そのコンセプトについて迫ります。

「人事」とは「人」と「事」を両立させる仕事です。

「人を生かして事を成す」こと。

深い。私は「人を生かす」という部分に重みを感じます。

フィードバックの難しさ

ビジネスパーソンであれば、大抵の人は上司から評価のフィードバックを受けます。このフィードバックは成長のためには非常に重要な役割を持っています。

実際、フィードバックの仕方について偏りが生じるという問題があります。ただ上司も人間なのである程度は仕方がないと私は思います。

この偏りをなるべく抑える方法として、フィードバックする側も自分のフィードバックを自覚することです。

上司と部下の間にファシリテーターが入る、「アシミレーション」という手法があります。

フィードバックに第三者機関のような機能を取り入れることで、より客観性が強まり、フィードバックの質が向上するかもしれません。

働きがいはどうすれば高まるのか

本書では、「心理学的経営」をたびたび引用しています。

ちなみに当ブログでも過去紹介していますが、読んだ当初はそこまで有名な書籍だとは私は知りませんでした。

さて、そんな心理学的経営において、ハックマンとオルダムの「職務設計の中核五次元」という考え方が登場します。

1.スキルの多様性:必要とされる能力や技能が多様であること

2.タスクアイデンティティ:初めから終わりまで、一貫して携われる仕事であること

3.仕事の有意義性:周囲の人々への影響力、仕事の意味が自覚され、重要だと感じること

4.自律性:自由裁量の範囲が大きく、仕事の成果に責任を感じられること

5.フィードバック:仕事の成果を上司や周囲を通じて知ることができること

この5つを満たす仕事は「やりがい」が高まる可能性があります。

この理論は坪谷さんの肌感覚的に合っているようです。

組織の代謝について

人を採用し、異動させ、退職していく。この人の流れをリソースフローと言います。いわば組織の代謝です。代謝の少ない組織はリストラを招いてしまいます。

例えば、入社と退職のパーセンテージが一致していれば、組織全体の年齢構成に変化はありません。

しかし実際にはそのような理想的な形にはならず、いびつな年齢構成になりがちです。

となると人件費が経営を圧迫したり、ポスト不足に陥ってしまうため、時には痛みを伴うリストラを行うことになります。

定年退職制度は代謝を促す代表的な制度の一つです。しかし近年は定年延長がトレンドになりつつあります。するとこの代謝機能が弱まり、企業の自浄作用が起きにくくなってしまいます。

代謝とは古い細胞が新しい細胞に生まれ変わるもので、生命を維持する上で重要な役割をはたしています。企業も同様で、定年延長、あるいは終身雇用の崩壊で代謝はもはやコントロール不能です。

その中で我々働き手一人一人が自分のキャリアについて当事者意識を持つことが求められているのかもしれません。

組織の秩序とは

組織にとって新陳代謝も重要ですが、活性化も重要なポイントです。

活性化している組織は「カオス(無秩序)」の状態にあります。

大抵の組織は過去の成功体験や既成概念を捨て去る「自己否定(アンラーニング)」ができません。

周囲の環境が変化すれば、その環境変化に適応させるために自分も変わる必要があります。

自己否定して秩序を壊し、また新たな秩序を創造する。さらにまた自己否定して秩序を壊してと、このサイクルをぐるぐる回す組織こそが活性化された組織です。

まぁ古くからある日本的な企業ではこの考えは到底受け入れられないでしょうね。

結局上位方針を決めるマネージャー層は団塊ジュニア世代で、変化を嫌う人が多い印象です。

だったらまだ比較的変化に柔軟なミレニアム世代をもっと積極的にマネージャーに登用すべきだと私は思いますね。

まとめ

・人事とは「人を生かして事を成すこと」である。

・評価のフィードバックは難しい。アシミレーションという手法が有効かもしれない。

・働きがいを向上させるには職務設計の中核五次元を意識する。

・組織の代謝は崩れつつある。一人一人が自分のキャリアの当事者意識を持とう。

・組織の秩序は壊して創造するの繰り返し。

今回紹介した書籍は人事のバイブル的な一冊でした。

冒頭にも述べた通り、人事部でなくても組織で働く者として知っておいたほうが良い内容です。

人事部であろうがなかろうが、結局人事という仕組の一部分を担っていることには違いありません。

興味があればぜひ読んでみて下さい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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