「ぎょらん」という一風変わったタイトルの小説を紹介します。
このタイトルだけでは中身が全く分かりませんが、読んでみると驚くほど感動的なお話でした。
簡単に解説をしていきたいと思います。
基本情報
発売日:2023年6月26日
ページ数:528ページ
出版社:新潮社
著者:町田そのこ
著者の町田そのこさんは本屋大賞を受賞された作家さんで、読み応え抜群の小説です。
あらすじ

人が死ぬ瞬間に強く願ったことが小さな赤い珠になってこの世に残る。その見た目がイクラに似ているから「ぎょらん」と呼ばれている。
そんな都市伝説的な話がとある雑誌に掲載され話題になるのです。
主人公は兄・朱鷺(とき)と、妹・華子(はなこ)の兄妹ですが、彼らを取り巻く登場人物の目線で色々な話が展開されていきます。
「人の死」のシーンが多くあり、故人と遺された人との繋がりが丁寧に描かれています。
「ぎょらん」は本当に存在するのか、そして登場人物は人の死から何を想い、どう生きていくのか。
総評
本作「ぎょらん」は人の死の描写が多く、人の意志や感情変化が緻密に描かれています。
普段健康に生きていれば死に対して考えることはまず無いですが、本作を読むことで死生観を醸成したり、大切な人との繋がりを大事にしようと思えるはずです。
私は以前下記の書籍を読み、家族との時間を大切にしようと感じました。
「ぎょらん」を読んでさらにその想いが強くなりました。
「ぎょらん」は故人との最後の繋がりでもあります。
実際は亡くなってしまってからでは繋がることができません。亡くなってしまってからでは故人の想いを知ることはできません。
本当に分かりあうためには、お互い生きているうちに対話をしましょう。
素直に想いを伝えることがどれだけ尊いことかを本作を読んで思い知りました。
ぎょらんとは一体何か

「ぎょらん」については色々な解釈がされています。
序盤では故人が遺したものという解釈でしたが、話の後半では実は遺された人の想いの結晶だという新たな解釈が生まれます。
きっとこうであってほしい、こうであるに違いない、そのような願いや祈りです。
この解釈の違いが本作ではとても重要な役割を担っています。
気持ちを伝えるのに早い遅いはない
大切な人にいつか伝えれば良いと思っていても、不慮の事態でそれが叶わなくなることもあります。
だからこそ、思い立ったら行動し、想いを伝えましょう。
大事なことを書き残しておくのも良いですね。
下記の書籍も合わせて読むのもお勧めです。
ぎょらん ーまとめー
本作「ぎょらん」は、ページ数が多く読み応えがありますが、読めば読むほど内容に引き込まれてしまい、「死」に対して否応なしに考えることになるでしょう。
フィクションではあるものの、登場人物達が人の死に直面したときの考えかたや振る舞いについては、人生経験として勉強になると思います。
色々な意味で読む価値が高い一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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