Kindle Unlimitedを契約してからというもの、気になったビジネス書を読みまくっています。
今回紹介するのは無印良品(社名は良品計画)の当時社長・松井忠三さんが書かれた本です。
当時経営難に陥っていた良品計画をV字回復させたメソッドを詰め込んだ一冊になっています。
経営者やリーダー職の人はもちろん、現場担当者レベルのビジネスパーソンにも有益な情報がたくさん書かれています。10年前に出版された書籍とは言え、参考になる部分は大いにあるので、読む価値はあると思います。
なるべくシンプルに紹介していきたいと思います。
著者:松井 忠三 さん
1949年、静岡県生まれ。株式会社良品計画会長。73年、東京教育大学(現・筑波大学)体育学部卒業後、西友ストアー(現・西友)入社。92年良品計画へ。総務人事部長、無印良品事業部長を経て、2001年社長に就任。赤字状態の組織を“風土”から改革し、業績のV字回復・右肩上がりの成長に向け尽力。07年には過去最高売上高(当時)となる1620億円を達成した。08年より現職に就き、組織の「仕組みづくり」を継続している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
引用:Amazon
松井さんは当時赤字だった良品計画を独自の組織改革によってV字回復させました。
V字回復と言えば当ブログでもお馴染みの元P&Gの森岡毅さんもUSJをV字回復させました。業績を回復させるような経営者は、旧態依然の組織を勇気と実行力を持って変えているようです。
無印の仕組みを公開する目的
V字回復の要因は組織の仕組みを再構築したことにあります。
なぜその仕組みを本書で公開しようと思ったのか。それは日本経済を元気にするためです。
日本人は勤勉な人種で、努力を惜しみません。しかし多くのビジネスパーソンが陥っているのは、努力している=仕事をしている という捉え方です。
成果に結びつかない努力は無駄な仕事となってしまいます。努力が正しく成果に結びつくためには「仕事の仕組み化」が大切だと著者の松井さんは言います。
以前当ブログで紹介した「リフレクティブ・マネジャー」で紹介された「二重ループ学習」に考え方が似ています。
仕組みが重要な理由
本書では色々な角度から仕組みの重要性について語られていますが、その中でも特に重要なのは、「属人的なスキルを蓄積すること」だと私は解釈しています。
重要なスキルやノウハウが特定の人に依存している場合、その人が抜けてしまうとスキルを一から構築し直しになってしまいます。
無印では「MUJIGRAM」という独自のマニュアルを作成し、徹底的に仕組化を進めました。
細かくマニュアル化することで、店舗間のサービス品質のばらつきを無くすことができます。
マニュアル作成で仕事の本質を理解する
マニュアルを作っていると、一つ一つの作業の目的を意識することになります。
目的を意識すると仕事の本質が見えてくるので、何が重要で何が重要でないかが理解できます。また必要/不要を取捨選択することができ、無駄な作業を省き、工数の削減にも繋がります。
ここでも以前紹介した「目的ドリブン」が役に立ちます。
迷った時は難しいほうを選ぶ
著者の松井さんは、選択を迫られたとき、必ず難しい選択肢を選ぶと言います。
人間は本能的に変化を拒み、簡単な道を選択しがちです。
恐らくV字回復前の無印の組織内には、過去の栄光にしがみつき、変化を頑なに拒む人たちで溢れかえっていたのだと想像します。
そこで松井さんはあえて変わることを選択し、強い組織に変えて行きました。松井さん曰く、「未来は、リスクを取らない限り開きません。」
この言葉に私は勇気づけられました。厳しい時こそリスクをとり、明るい未来を自分で切り拓いていきたいですね。
ホウ・レン・ソウは人の成長を止める
社会人の基礎として「ホウ・レン・ソウ」があります。「報告」「連絡」「相談」です。
著者の松井さんはこの「ホウ・レン・ソウ」を過度に意識しすぎると人が成長しなくなってしまうと言います。
何でもかんでも上司に相談する状態は、思考停止に陥っています。
上司に相談する際は、緊急の案件だったり、自分はこうしたいという考えを持った上で上司の意見を聞きに行くような姿勢が重要だと私も考えています。
思考力を強化するためにも読書はお勧めです。
こんなものもマニュアル化
これは番外編ですが、コミュニケーションもマニュアル化することをお勧めします。
例えば「部下に注意をするマニュアル」は興味深いです。
部下に注意するための準備、注意するときの態度、手順を明文化しておく、そうすることで、いざ部下を注意する際に、感情に支配されてしまうことを防いでくれます。
また余計なことを考えずに注意できるので、注意する側の心理的ストレスも軽減します。
この視点は今まで無かったなと私は勉強になりました。
まとめ
・マニュアルを作ることで仕事の本質を理解することができる。
・迷った時は困難な道を選択する。
・思考停止に陥ったホウ・レン・ソウは成長を止めてしまう。
・コミュニケーションをマニュアル化するように、意外なものもマニュアル化できる。
この記事で紹介したのはほんの一部に過ぎません。本書の中では仕組み化の重要性や恩恵がもっと詳しく語られています。どんな業種の人でも参考になると思うので、ぜひ読んでみて下さい。
最後に、松井忠三さんの言葉で締めたいと思います。
「あせらず、くさらず、おごらず」
長い人生、良い時も悪い時もあります。そんな時はこの言葉を思い出して前を向いて歩きましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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