「ライフ・シフト」という有名な書籍を書いたリンダ・グラットン氏の最新作。
激動の時代における働き方の再設計へのヒントを得ることができます。
ビジネスパーソン必見の一冊。紹介していきたいと思います。
基本情報
発売日 2022年10月14日
ページ数 344ページ
出版社 東洋経済新報社
著者 リンダ・グラットンさん
本書のコンセプト
著者のリンダ・グラットン氏は「人生100年時代」という言葉を生み出した有名な学者です。
人の寿命は確実に伸びており、仮に100年生きるとすると仕事を60歳定年でリタイアしてもまだ残り40年もあるわけです。
そしてコロナ過でリモートワークが普及したことにより、アフターコロナの現在は働き方が多様化してきています。
そんな人生100年時代における働き方を再設計するには、どうすれば良いのか?
具体的には「リデザインの4段階のプロセス」をぐるぐる回すことです。
1.自社の重要な要素について理解する
2.未来の仕事のあり方を新たに構想する
3.モデルをつくり、検証する
4.モデルに基づいて行動し、新しい働き方を想像する
本書ではこの4段階のプロセスを丁寧に解説しています。
このプロセスはPDCAに少し似ているかもしれません。
また企業によって好ましいモデルが異なるので、それぞれで最適化が必要ですよ、というお話です。
3ステージの人生からマルチステージの人生へ
3ステージの人生というのは、フルタイムでの教育→フルタイムでの仕事→フルタイムでの引退生活 です。
現代はもはやこの3ステージの人生ではなく、マルチステージの人生という生き方が主流になりつつあります。
例えば50代になってから大学で学び直したり、あるいはキャリアを中断して育児や介護に時間を費やす。副業を始めたり起業したり。はたまた旅に出たり。
長寿化によって人々のニーズが変わりつつあるので、それに応じて働き方も見直すべきでしょう。
企業は高年齢者の活用を真剣に考え、また我々働く側も60歳がゴールという固定観念を捨て去るべきなのかもしれません。
リモートワーク
働く場所と時間の選択肢と、生産性の4要素(活力、集中、連携、協力)について検討するためのフレームワークが紹介されています。
+:生産性に対してプラスの影響
-:生産性に対してマイナスの影響
それぞれの企業を支える柱となる事業が、どのような形が最適かを念頭に考える必要があります。
結局職種次第なところはあると思います。
モノづくり立国である日本では、まだまだ製造現場仕事は多いですから、リモートワークの浸透、あるいは働き方のリデザインは進みづらいだろうなぁというのが私の所感です。
結局は信頼関係が全て
働き方のリデザインするにあたり、重要な意味を持つのが会社と社員の信頼関係です。
会社に対して強いエンゲージメントを持つ社員は、周囲の目が無くてもリモート環境で自立して業務をこなすはずです。
エンゲージメントが弱いと、リモートワークは単なる「ご褒美」と化してしまいます。
そうではなく「柔軟な働き方」を提供するには、社員1人1人が責任を持つこと。
いかにしてリーダーが語り手となって人間の心を揺さぶるようなストーリーを伝えることができるかが、信頼関係構築のカギになるでしょう。
リーダーになる人にはこれを読んでほしい!
まとめ
・リデザインの4段階のプロセスを基に、自社独自の最適解を探していく
・人生はマルチステージ化している
・生産性起点で時間と場所のバランスをとる
・ベースとなるのは信頼関係である
新しい働き方をリデザインする体系的な手法を学ぶ一方で、つまりは人と人との信頼関係が絶対に必要だという事を理解しました。
「感じとる」という繊細な感覚はAIには決して置き換えられない人間の領域です。
時代がいくら進歩しようとも我々はこの人間らしさを軽視することなく、積極的にテクノロジーを取り入れて仕事の生産性を向上させるべきではないでしょうか。
そもそも働き方をリデザインする目的は、人生をより豊かにするためだと私は考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント